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【2019年のおすすめ本】ランキング ベスト10『既刊編』三島由紀夫多め。ネタバレ無しで言いたい放題

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2019年の個人的ベスト本ランキング10冊をご紹介します。

今回は「既刊編」。古き良き名作が多めに登場することとなりました。

2019年でこのラインナップかよ!という位、新しいものは少ないです。いいものはいいんだ。

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目次

1位:三島由紀夫『金閣寺』

言わずとしれた三島由紀夫の名著。その良さは語り尽くせぬほど。

twitter経由でとあるフォロワーさんにオススメしてもらい、初三島。結局この本が私の2019年から始まる「文学リハビリ」の記念すべき1冊目になったということもあり、当然のごとく2019年の圧倒的個人的1位と相成りました。

しかし、御礼を言おうとそのフォロワーさんを探した所、既にアカウントを消去されてしまっているようで…見つけられませんでした。これも一期一会。寂しいものですね。実際にお会いしたことは無かったけど、感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます!

作品の内容は「金閣寺の放火事件」という事実を元にした創作ですが、そのリアリティさは息を呑むほど。

行為に至るまでの鬱屈した精神のプロセス。誰もが持つ心の闇と、それを斜に構えて見つめる存在。暗黒へ焚きつける言葉の数々。金閣寺という美の極致を表現するにふさわしい、美麗な日本語表現の雨嵐。読む手が止まりませんでした。

ポジティブなテーマじゃないけど、こういう苦悩の発露こそが、人間を21世紀の文明まで引き上げてきたのではないか、とまで思ったりします。日本人で良かったと思える作品。

これを18の自分に読ませておきたかった。

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2位:三島由紀夫『命売ります』

またしても三島由紀夫ということですみませんが、この三島さんは超ポップ

自殺に失敗した男が「命売ります」となんでも屋を始める…という、世にも奇妙な物語やライトノベルの世界観。そして展開も期待を裏切りません。

『金閣寺』『音楽』『潮騒』と読みましたが、三島先生の文学は一言でいうと変幻自在。オールマイティーです。

ドラクエで言えば勇者なのに賢者。幽遊白書で言えば幽助なのに戸愚呂かつ海藤優。ジョジョで言えばDIOなのに岸辺露伴な近距離パワー型遠隔操縦スタンド使なのです。何を言ってるのかわからねぇ…な人はごめんなさい。趣味です。とにかく多種多様な技を器用に使いながら、それぞれが本業レベルで研ぎ澄まされているという感じ。

『命売ります』にも深い哲学が秘められているのだと思いますが、そんなことよりスラスラ一気読みできてしまうエンタメ性の高さが売り。ドラマ化もされたそうです。観てないけど…

ぜひ、『金閣寺』⇒『命売ります』で三島作品の振れ幅を楽しんでいただきたいです。

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3位:安部公房『箱男』

これでもかというくらいの、メタ構造、実験的記述のオンパレードの中に、人間の心理を内側から覗き込む鋭利な刃物のような視点が幾重も仕掛けられた挑戦的な作品。

…というのも本作のもちろん読みどころなのですが、登場人物の変態性、とりわけ箱に入って生活するという「箱男」のアイデアを思いついた時点で、もはやこの作品は勝利を収めています。

安部公房氏の皮肉な世界観。所属するということ、見る・見られるということ。書くということ。様々なテーマがのしかかり難解な作品ですが、まずはそこじゃなくて超弩級の変態小説を愉しもうよ。

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4位:小野不由美『残穢』

以前、「#夏を凍てつかせる怖い小説」タグで募集した小説でも得票数一位を誇る、みんなが怖がる「本当にヤバい本」です。

『残穢』の怖さは、その得体の知れない恐怖の「根の深さ」と無数に広がる「枝のとらえどころのなさ」じゃないでしょうか。

自分が立っている部分が氷山の一角だという不安。夜の海の無限の闇に足を踏み入れる怖さ。闇の茨に絡め取られる子うさぎの命の無力さ。そんな恐怖を味わうことができるでしょう。

個人的には、残穢』を読み終えた直後、いるはずのない蚊に刺されまくったのが一番の恐怖体験でした。

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5位:梶井基次郎『檸檬』

24歳でこの「死」と「闇」に満ちた作品を仕上げたなんて…感嘆の声がダダ漏れになる美しい短篇集です。

表題作の『檸檬』は国語の教科書で誰もが読んだことがあるのではないでしょうか?

それだけでなく『Kの昇天』『桜の樹の下には』『冬の蠅』『ある崖上の感情』など、幻想的な狂気を帯びつつもどこまでも現実を冷徹に見つめる梶井氏の着眼点が大好物です。

願わくば、長生きしてさらに視点が変わっていく梶井氏の作品を読みたかった。そう思えて仕方ない一冊です。

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6位:今村昌弘『屍人荘の殺人』

クローズドサークル系ミステリ。本作は新しく、2017年の作品です。映画化もされたので有名です。まだ観てないので早く観なければ。浜辺美波を観なければ…

私は本格ミステリが三度の飯より好きなのですが、こんなのアリかよ!と思いつつも、でも理にかなってるなと腑に落ちる非常にセンスのいい筋書きに仕立て上がっています。

キャラクターも魅力的で、ミステリをどう「料理」するか?をとことん楽しく煮込んでみたらこんな味わいになりました、という雰囲気。著者の今村先生の好奇心がそのまま結実したかのようなワクワクさせてくれる一冊です。

「今回は〇〇という追加ルールでいきます!」と宣言して、その中で存分にルールを使い倒すような嗜好。ミステリ好きなら誰もが楽しめるのではないでしょうか。

続編の『魔眼の匣の殺人』も読みましたが、こちらも同様に独特な追加ルールの元、読者を翻弄してくれます。今村先生、今後も注目ですね。

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7位:有島武郎『或る女』

THE純文学!早月葉子という、これでもかという位自意識が高く、女の武器を使い倒して男を翻弄する、一人の女性の人生を描いた作品です。

2019年から文学を腰を据えて読み始めたばかりの私でも、この応援したくないけどその先が気になる…感覚になりました。

文章の表現も巧みで、後半の「葉子の激情と世間」という対立構図が際立ちます。

スカッと爽やか!という話ではありませんが、時代の風を感じつつ、葉子にイライラしながら読んでいる私はすっかり有島武郎先生の罠にハマってしまったのでしょうか?

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8位:川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』

主役の冬子は超奥手。冬子が出会った三束さんという男性に次第に惹かれていくが…

現代人の「超・消極的恋愛」のバイブルとでも言えるような作品です。

楽しんで読めるんだけど、この消極さにどこか共感して心が痛いよ…となってしまう人は結構多いはず。

キーワードとして「光」と「夜」が登場しますが、どちらもきらびやかでにぎやかなものではなく、静かで穏やかな光と夜が描かれます。その度読みながら、救いを感じる…という点も本書の魅力の一つだと思います。

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9位:谷崎潤一郎『卍』

基本的に女性の語りをメインとして書かれた一冊。読めばわかりますが、谷崎潤一郎氏はなかなかの変態野郎だと断言できますね。

『卍』のテーマはズバリ「レズビアンとの三角(四角)関係」です。ただ、エロ要素は極力無い様に文章の方はだいぶ工夫されていると思います。

これだけでピンときた人は是非読んでみてください。男なら、主役の女性のあまりの奔放っぷりにキレそうになりながら読めることうけあいです。

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10位:島崎藤村『破戒』

非常に重いテーマの小説です。『破戒』とは、戒めを破ること。父親に固く戒めされていた「とある行為」を主人公はしてしまいます。

そのことで話は大きく進んでいくのですが…切ない内容に胸が痛くなります。

私は、本作は本当の意味での自由を手に入れる若者の闘いと矜持を描いた傑作だと思います。

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次回は「ビジネス書編」をまとめます。

まだまだ読書不足の勉強不足ですが、自分は三島由紀夫が好きなんだろうなと実感した1年。さて2020年はどんな年になるでしょうか。個人的にはミステリに偏りすぎたジャンルをもう少し均等にならして幅広い本を読んでいきたいなと考えています。

オススメの1冊があれば、ぜひ教えて下さい。読みます!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

これまで読んだ「年間ベスト作品」の記事一覧

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