文学・小説– category –
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森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』が起こした3つの化学反応|感想・あらすじ
『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦(森見本全冊レビュー、4冊目) 『四畳半神話大系』とならび、森見作品の出世作であり代表作。諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ。これから読む人のために、ネタバレなしでご紹介します。 『夜は短し歩けよ乙女... -
森見登美彦『きつねのはなし』感想とあらすじ|涼しく不気味な古都の夜。日本人で良かったとしみじみ思える怪談・奇譚集
『きつねのはなし』森見登美彦(森見本全冊レビュー、3冊目) しんみりと心に不気味な影を落とす奇譚集。こんな作風もできるのか、と森見登美彦氏の才能の奥深さにハッとさせられる作品です。これから読む人のために、ネタバレなしでご紹介します。 『き... -
森見登美彦『四畳半神話大系』解説・感想|傑作。腐れ大学生路線続投で確立した「愛される」森見文学
『四畳半神話大系』森見登美彦(森見本全冊レビュー、2冊目) デビュー作の『太陽の塔』でやり切ったかに見えた「腐れ大学生」路線の作品を2作品目も投入。しかしこれが傑作にして、時を超えて愛される森見文学の地位を確立した記念碑的作品。2010年には... -
森見登美彦『太陽の塔』感想と解説|デビュー作にして森見妄想青春文学の完成品
『太陽の塔』森見登美彦(森見本全冊レビュー、1冊目) 第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞(受賞時タイトル『太陽の塔/ピレネーの城』)。 デビュー作にして、森見文学宇宙の特異点かつビッグバン。恋に不自由な腐れ大学生たちのグツグツ煮えたぎる... -
村田沙耶香『丸の内魔法少女ミラクリーナ』あらすじ・感想|5段階の興奮を味わえる、村田世界の入門書
51冊目『丸の内魔法少女ミラクリーナ』村田沙耶香 男としては、表紙の可愛さ、キラキラさに手に取ることを一瞬ためらいそうになりつつも、信頼の村田沙耶香さんの最新刊ということで迷わずレジへ。 読んでみて実感。これは、人にオススメ(布教)したくな... -
安部公房『箱男』考察ネタバレ|「箱=匿名性」に囚われた人間の欲望と罠の不条理世界を読み解く
48冊目『箱男』安部公房 箱男とは、結局一体何なのか。「箱」という世界の境界線を媒介して行われる「見る/見られる」「匿名/実在」「主観/客観」「欲望/冷めた目」の罠・言葉の迷宮…安部公房氏による超一級の不条理小説。 今回、記事を書くために再読... -
真下みこと『#柚莉愛とかくれんぼ』感想|悪意のSNS炎上・地下アイドルの受難
46冊目『#柚莉愛とかくれんぼ』真下みこと 「現役女子大生作家、衝撃デビュー!第61回メフィスト賞受賞作」表紙も目立つし気になり即ジャケ買い。 現代の地下アイドルが立たされている苦境と、炎上、情報の拡散と人間の悪意がリアリティを持って描かれたSN... -
井上真偽『ベーシックインカム』ネタバレ無し感想|必読。これはミステリの皮を被った21世紀の道徳の教科書だ
45冊目『ベーシックインカム』井上真偽 舞台は近未来。体感的には2030年位。もしかしたらもっと早いかも。 技術の進歩した世界で起こる、5つの謎。というSFミステリ短編集ですが、個人的には本書がこの時代に刊行されたことには、一つの超重要な意義があ... -
芦沢央『カインは言わなかった』感想・要点|全編に張り詰められた緊迫感。著者と読者のメンタル消耗戦
44冊目『カインは言わなかった』芦沢央 暗黒に差す一条の光。その光を手繰り寄せるために命を懸けた者達の物語。 表現者の苦悩、高みを目指す者の希望とその裏側が描かれた「慟哭」ミステリーー慟哭ミステリって、何?その疑問は、読めばすぐ氷解します。 ... -
村田沙耶香『変半身(かわりみ)』感想|真のセカイ系小説。人間を再構築する異形の創世記【非ネタバレ】
42冊目『変半身(かわりみ)』村田沙耶香 「ニンゲンを脱ぎ捨てろ。ポピ星人、ポーポー様、秘祭モドリ、海のもんと山のもん、エロコミ天国、遺伝子退行手術etc. 歴史は書き換えられ、世界は塗り替えられ、魂は入れ替えられていく―― 演劇界の鬼才・松井周と... -
辻村深月『凍りのくじら』感想・登場ひみつ道具で振り返る|全大人が子どもに戻る「心の迷宮」冒険記
41冊目『凍りのくじら』辻村深月(おすすめ本7冊目) 人間の「心」を冒険する。永遠のドラえもん世代が共感する物語。 twitterでゆかこ堂書店(@yukakodo_shoten)さんにお薦めいただきました。ありがとうございました!そして見渡せば、本作のファンの方... -
歌野晶午『間宵の母』ネタバレ感想|あの家に関わるな。ホラーがミステリに変わる《一気読み系》闇小説
40冊目『間宵の母』歌野晶午 「間宵家」に宿る狂気と呪いの因縁… 「関わりたくない!」と心から思える闇果汁たっぷり濃縮還元100%のホラー+ミステリ。 良い子は決して、読んではいけません。何かが宿ってしまいますよ? 歌野晶午さんデビュー30周年!の記... -
村田沙耶香『生命式』感想・ネタバレ・破壊する概念リスト|価値観、常識、倫理観、世界観を丸飲みして溶かし尽くす衝撃的短編集
注意!ネタバレあり! 途中から、本作のネタバレがあります。ネタバレが始まる所でまた合図しますので、未読の方はご注意下さい! 38冊目『生命式』村田沙耶香 生きること。死ぬこと。食べること。繁殖すること。 倫理。道徳。臓器。道具。感情。美徳。性... -
羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』あらすじと解説|芥川賞受賞作。コミュニケーションの不可解さ。人間はわかりあえない。
33冊目『スクラップ・アンド・ビルド』羽田圭介 「早う死にたか」 若さと未来への希望あふれる青年「健斗」が、老化とともに生きる希望をなくしたと繰り返す「祖父」とのやり取りを経て起こる心境の変化を描いた物語。 第153回芥川賞受賞作品です。 現代の... -
梶井基次郎『檸檬』20の短編全あらすじレビュー|死と闇に徹底的に向き合った夭逝の天才作家
32冊目『檸檬』梶井基次郎 明治の文豪シリーズ。31歳で亡くなった天才・梶井基次郎さんが、なんと24歳の時に世に放った傑作「檸檬」をはじめとする20編を収めた短編集。読めば読むほどにその才能が惜しまれる素晴らしい書。 時に鬱屈し、時に開放的になる... -
二宮敦人『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上・下)』感想|真逆のスタンスで終末医療に挑む二人の医者の熱い物語
31冊目『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上・下)』二宮敦人(おすすめ本6冊目) 幸✎読書垢(@yssh113611)さんからお薦めいただきました。ありがとうございます! 物語の中心人物となる二人の医者、桐子と福原。「冷酷な死神」と「熱血の天使」が... -
《閲覧注意》夏を凍てつかせるおすすめの怖い小説・ホラー小説【厳選42作品+α】闇夜の大晩餐会。暗黒の通り名+メニューを添えて
御機嫌麗しゅう。今年も暑い夏がやって参りました。地獄の業火に焼かれながら、それでも人は涼を求めるもの。読書好きの皆様に於かれましては、それなら「怖い小説」で涼もうか…などという高尚なお考えをお持ちなのではないでしょうか。 [chat face="unou2... -
小野不由美 小説『残穢』感想・ネタバレ考察|人物相関図、穢れの仕組み、地図の歴史…呪いの連鎖。閲覧注意の“本当にヤバい話”
26冊目『残穢』小野不由美(おすすめ本5冊目) 今回は、小野不由美『残穢』をご紹介します。 こちらはtwitterですみはし(@sumikko0020)さんからおすすめいただいた作品。ありがとうございました! 今回は記事を完成させるために3度ほど再読してノート... -
遠藤周作『海と毒薬』感想とあらすじ|日本人の「心の弱さ」と「集合体としての罪の意識の不在」を描く、《イヤノンフィクション》
23冊目『海と毒薬』遠藤周作 今回は明治の文豪シリーズ。遠藤周作の代表作の一つ『海と毒薬』をご紹介します。 『海と毒薬』遠藤周作 文庫: 208ページ 出版社: 新潮社; 改版 (1960/7/15) 【】 日本人なら誰でも分かるであろう「空気に流されてしまう」行動... -
米澤穂信『さよなら妖精』感想とネタバレ|日常と非日常の謎に、異国のマーヤと挑む青春ミステリ
こんにちは。会社で日々ぶっこまれる無茶ぶりが、徐々にでも確実に快感に変容しつつあるうまいごす(@umaigos)です。もっと!もっといじめてくれ! 22冊目『さよなら妖精』米澤穂信(おすすめ本4冊目) 今回は、新世代ミステリの旗手、米澤穂信さんの「ベ...
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