46冊目『#柚莉愛とかくれんぼ』真下みこと
「現役女子大生作家、衝撃デビュー!第61回メフィスト賞受賞作」表紙も目立つし気になり即ジャケ買い。
現代の地下アイドルが立たされている苦境と、炎上、情報の拡散と人間の悪意がリアリティを持って描かれたSNSミステリ。まさに令和2年の今を切り取った様なネット社会の闇が、ドラマを観ているような感覚ですらすら読めて、戦慄できる一冊。真下みことさんのこれからが楽しみです。
タイトルがハッシュタグになっているのもいいですよね。ぜひバズっていただきたいです。
『#柚莉愛とかくれんぼ』真下みこと
(講談社)
発売日:2020/2/12
ページ数:210ページ
真下みこと『#柚莉愛とかくれんぼ』はこんな人にオススメ
- アイドル好き、追っかけたこともあればなおよし
- ミステリ好き
- 娘が「アイドルになりたい!」と言ってたら、これを読んで冷静になろう
- twitterやってる人
- 「炎上」という言葉に反応してしまう人、インフルエンサーになりたい人
- ネット記事は読むけどあまり本読まない人、活字ちょっと苦手!な人
真下みこと『#柚莉愛とかくれんぼ』の個人的読みどころ(ネタバレなし)
アイドルグループ「となりの☆SiSTERs」、僕の推しは青山柚莉愛。その柚莉愛が動画生配信中に血を吐いて倒れた。マジか!大丈夫なのか?でも翌日、プロモーションのためのドッキリだったってネタばらしが…。本気で心配した僕らを馬鹿にしやがって。ありえない、許さない!SNSで柚莉愛を壊してやる!アイドルの炎上、ファンの暴走、ネット民の情報拡散―今読むべきSNS狂騒曲。現役女子大生作家衝撃デビュー!第61回メフィスト賞受賞作。
本書の読みどころを3つ挙げます。
- サスペンスドラマを見る感覚で、本が苦手でも一気に読める面白さ
- 我が子をアイドルにさせたくない!と心底思える「アイドル」という修羅の道を感じられる
- ネットでの「炎上」の発生メカニズムが分かる
サスペンスドラマを見る感覚で、本が苦手でも一気に読める面白さ
本書を手に取る方がまず持つであろう、「この表紙なんだろう」「面白そう」という感覚。多分、その感覚のまま、日常から日常的非日常へスーッと入っていけると思います。そしてさらに多分、一気読みできちゃうんじゃないでしょうか。
文章自体読みやすいことと、twitterなどSNSでの炎上が鍵なこともあり、タイムラインを見ていくような表現で更に輪をかけて流れるように読めます。
話の展開も早く、活字が苦手な人でもテレビのサスペンスドラマを見ている様な感覚で読了できると思います。そういう意味では、本の世界に引っ張り込む入門編としてもオススメできそうです。
我が子をアイドルにさせたくない!と心底思える「アイドル」という修羅の道を感じられる
文章の読みやすさとは裏腹に、作品内で描かれる現実はシビア。とりわけ「アイドル」という職業に対して読みながら本当シンドさを感じます。
地獄の特訓やありえない誹謗中傷などの様な度の過ぎた表現は無いですが、その分かなりリアリティがある。
売れない地下アイドルに課せられるミッション、握手会、SNS活動、ファンと裏切り、嫉妬や足の引っ張り合い…
と心の中で固く決意しました(笑)
ネットでの「炎上」の発生メカニズムが分かる
本書の面白い点は、ネット炎上が起きる様を超リアルに描いている点。この迫真さは、かなりドキュメンタリーだなと思いました。著者の真下みことさんが現役女子大生ということで、世代なんだなと。生々しくて好き。
ライブ配信、twitter、togetterなどが登場しますが、ワンシーンを意図的にスクリーンショットして、コメント付きでツイートして、反応を観ながら二の矢三の矢を放っていく。指数関数的に炎上していくSNSの様子は必見です。インフルエンサーになりたい人は、悪い例ですが勉強になるので特に読んでおくべきです。
悪意が善意を蝕み、情報がまたたくまに拡散して憎悪になっていくSNSの怖さを知ることができます。
複雑ではないけどミステリとしてもしっかり楽しめるので、ぜひどうぞ!
『#柚莉愛とかくれんぼ』真下みこと
(講談社)
発売日:2020/2/12
ページ数:210ページ
真下みこと『#柚莉愛とかくれんぼ』の読了時ツイート
26冊目
真下みこと『#柚莉愛とかくれんぼ 』アイドルの「売り物」は時代とともに変化する。
令和の彼女達に課せられたピアノ線の綱渡りに、慄えるしかない。
SNS、応援、握手会、絆、生配信、嫉妬、体当たり企画、罵詈雑言、暴力、誹謗中傷…
親として、この道だけはアカンと強く感じた。。#読了 pic.twitter.com/4kJ9wx0uI9
— うまいごす@読書空間Z (@umaigos) March 10, 2020