御機嫌麗しゅう。今年も暑い夏がやって参りました。地獄の業火に焼かれながら、それでも人は涼を求めるもの。読書好きの皆様に於かれましては、それなら「怖い小説」で涼もうか…などという高尚なお考えをお持ちなのではないでしょうか。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]申し遅れました。私、闇執事の倶喰旨士(ともぐい・うまし)と申します。[/say]
この季節にぴったりの「#夏を凍てつかせる怖い小説」を食すべく、この度、twitter上に蠢く暗黒読書垢の皆様に、78時間の期限を設けてお声掛けした所、なんと総勢54名の方より、42作品(+α)もの食材をご提供いただきました。ドス黒い、闇の叡智が結集した訳です…この場を借りてお礼申し上げます。
怖さの定義は、人それぞれです。怖い小説にも様々なジャンルがございます。ホラー、ミステリ、スプラッタ、イヤミス…直接的な怖さも、間接的な怖さもあります。そして、怖さは優劣を決めたり、怖さの度合いを競うものではございません。だからいつでも新鮮な気持ちで涼を取ることが可能です。要するに愉しみ方は無限大…ということです。
また、今回晩餐会の供物をご提供いただいた方々には、勝手ながら私めの方からささやかな「闇の通り名」をお付けさせていただきました。そちらもよろしければ眺めて行っていただければ幸いです。
では早速、我が暗黒館に寄せられた食材を元に、闇夜の晩餐会を開始いたしましょう…貴方のお気に入りのメニューが一品でも見つかれば、この上ない悦びでございます。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]圧巻の【ノンストップ・フリージングホラー】な供物の数々、是非お楽しみください。残さずお召し上がりになられますよう…[/say]
当晩餐会は、フルコース形式でお送りいたします。当然のことながら、メニューの順番や構成によって、怖さの優劣をつけたり、競ったりするものではございません。どのメニューも、ただただ美味しく召し上がっていただくために存在するもの。誤解なきよう、予めご了承ください。(要するに、順番は適当です)
食前酒~Apéritif~
まずは、皆様方の食欲をそそる食前酒から始めましょう。深酒は禁物でございますよ。
京極夏彦『いるのいないの』
- ドリンク名:感情早刈りカクテル
- 食材ご提供:幻惑の殺戮機械、strytllr様(@strytllr1)
おばあさんの住む古い家でしばらく暮らすことになった。家の暗がりが気になって気になってしかたない。―京極夏彦と町田尚子が腹の底から「こわい」をひきずりだす。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]絵本で上質な怖さを味わうことができるという逸品。小学校高学年頃に召しあがれば、後々まで心に刻まれるトラウマとなること必至。恐怖の英才教育におすすめです。[/say]
平山夢明「シャワーノズル」(『東京伝説 自選コレクション 溶解する街の怖い話』に収録)
- ドリンク名:ウォッシャブルインセクトウォーター
- 食材ご提供:神殺しの扇動書記、柳永千哲様(@yanagachisato)
2003年『うごめく街の怖い話』以来11冊の巻を重ねてきた「東京伝説」シリーズ。心霊ではなく人間の闇が引き起こす恐怖実話の金字塔は、現在において、世を騒然とさせる数々の凶悪事件の予言書とまで言われている。そんな総数400を超える話より、著者が選んだ最凶な話を自身の解説とともに編纂。「都会の遭難」や「素振り」など“伝説”きっての名作がそろう究極の一冊だ!
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]グロテスクかつモダンなホラー描写に長けた平山夢明氏。短編集内の1篇ですが、読んだことを後悔させるほどの逸品だそうです。[/say]
突き出し〜amuse-bouche〜
最初から飛ばしてまいりますよ…どうぞ、遠慮なさらずに、お召し上がりください。
エドガー・アラン・ポー『落とし穴と振り子』
- 料理名:鉄格子の死臭漬け
- 食材ご提供:山嵐の三白眼フラクタル、にゃっぴ様(@Euler_wa_nyappi)
暗黒の牢獄のなかで手探りの探索を始めた私…。19世紀初めのスペインで、宗教裁判官により「もっともいまわしい精神的の恐怖を伴う死」を宣告された男の恐怖の体験を描くポーの恐怖ものの一編。原作は、1842年「贈りもの」(The Gift)に発表。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]人の悪意に誘導された精神的恐怖は、次第に体をも蝕んでしまうことでしょう。この牢獄に入りたいと思う方は…挙手くださいませ。伴天連の使いが、貴方の元へ向かいます。[/say]
三田村信行『おとうさんがいっぱい』
- 料理名:父の薄切り肉盛り合わせ
- 食材ご提供:ゾディアック味の憎念多糖類、思考するガム様(@sikougamu)
これね、ある時突然、全国的に、どのうちでもお父さんが5、6人に増殖するって話なの。それぞれ自分が本物だって主張するので、こまった政府はそこんちの子どもに1人選ばせて、残りは処分するって方法をとるわけ。…いい気になった子どもたちがある日学校から帰ってくると…もう一人の自分がそこにいるの。選ぶ側から、選ばれる側にまわされた時の恐怖…。小学校中・高学年向。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]私も幼少期に食しましたが、その空虚な読後感は忘れられません。そして色々と考えさせてくれる秀逸な短編集です。あえてお子様にこそ、味わっていただきたい。[/say]
中村文則『遮光』
- 料理名:虚ろの肉小鉢
- 食材のご提供:頭蓋穿孔の記憶吸い、青い蝶様(@Euler_wa_nyappi)
恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら、彼女は今でも生きていると、その幸福を語り続ける男。彼の手元には、黒いビニールに包まれた謎の瓶があった―。それは純愛か、狂気か。喪失感と行き場のない怒りに覆われた青春を、悲しみに抵抗する「虚言癖」の青年のうちに描き、圧倒的な衝撃と賞賛を集めた野間文芸新人賞受賞作。若き芥川賞・大江健三郎賞受賞作家の初期決定的代表作。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]恐怖小説には、人間の愛がテーマとなっているものが多数ございます。愛か狂気か…肉汁したたる怨念が口の中で蕩ける、味わい深い一皿です。[/say]
三津田信三『厭魅の如き憑くもの』
- 料理名:乾燥案山子の肉骨粉
- 食材ご提供:業火客船の引摺り錨、長谷川様(@NowmanSho)
神々櫛村。谺呀治家と神櫛家、二つの旧家が微妙な関係で並び立ち、神隠しを始めとする無数の怪異に彩られた場所である。戦争からそう遠くない昭和の年、ある怪奇幻想作家がこの地を訪れてまもなく、最初の怪死事件が起こる。本格ミステリーとホラーの魅力が圧倒的世界観で迫る「刀城言耶」シリーズ第1長編。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]私は幼少の頃、案山子に追いかけられるという夢をよく見たものです。音もなく近づく彼らは、決まって満面の笑みを浮かべておりました…[/say]
内藤了『鬼の蔵』
- 料理名:鬼文字のしがらみ焼き
- 食材ご提供:戦場ヶ原の無々草粥、春ノ宵様(@02_harufruhling)
山深い寒村の旧家・蒼具家では、「盆に隠れ鬼をしてはいけない」と言い伝えられている。広告代理店勤務の高沢春菜は、移転工事の下見に訪れた蒼具家の蔵で、人間の血液で「鬼」と大書された土戸を見つける。調査の過程で明らかになる、一族に頻発する不審死。春菜にも災厄が迫る中、因縁物件専門の曳き屋を生業とする仙龍が、「鬼の蔵」の哀しい祟り神の正体を明らかにする。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]謎と恐怖を同時に愉しむことができる逸品です。血文字、鬼、因縁…なぜか、心躍ってしまうのは私だけでしょうか。[/say]
前菜〜Hors-d’œuvre〜
さあ、胃袋もすっかり受け入れ体制になっているのではないでしょうか。続いて前菜をお持ちいたしました。
乙一『暗黒童話』
- 料理名:くり抜き眼球のカナッペ
- 食材ご提供:二律背反の錯乱棒、双子moon様(@moon61226676)
突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは、眼が見てきた風景の「記憶」だった…。私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ちかまえていることも知らずに…。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]鬼才、乙一氏がシンプルな言葉で描くグロテスクな闇の寓話。救いが欲しい方は、召し上がってはいけません…[/say]
瀬名秀明『パラサイト・イヴ』
- 料理名:熟成ミトコンドリアの進化ドリア
- 食材ご提供:六本の狂った重金属の振動、U-ki様(@Yuki_FUjimo1127)
事故で亡くなった愛妻の肝細胞を密かに培養する生化学者・利明。Eve1と名付けられたその細胞は、恐るべき未知の生命体へと変貌し、利明を求めて暴走をはじめる――。空前絶後の着想と圧倒的迫力に満ちた描写で、読書界を席巻したバイオ・ホラー小説の傑作。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]映画化・ゲーム化もされた銘品です。一口一口読み進めるごとに、遺伝子の発火を感じることでしょう。読み終える頃、我々は人の形を保っていられるでしょうか…[/say]
辻村深月『きのうの影踏み』
- 料理名:十三素材の串刺しピンチョス
- 食材ご提供:屍人色の鈎尻尾、ノラ様(@bluegrayeye)
怪談には死者の“思い”が込められている。人の喪失に寄り添ってきた文学に、辻村深月が心血を注ぎ込んだ。失った“大切な誰か”を思い出して読んでほしいと願いながら。辻村深月の新境地!絆を感じる傑作短篇集。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]本料理では13の素材をふんだんに使った、色とりどりの怪談話がテーブルに華を添えます。人の心をあちらこちらに揺さぶるアラカルト。一つ一つごゆっくり召し上がり下さい。[/say]
夏目漱石「三夜」(『夢十夜』に収録)
- 料理名:茄子色わらべのマリネ
- 食材ご提供:左遷喉鳴りの赫襦袢、小助様(@ararahonten)
現在(明治)を始め、神代・鎌倉・100年後と、10の不思議な夢の世界を綴る。「こんな夢を見た」という書き出しが有名。漱石としては珍しい幻想文学のテイストが濃い作品である。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]突然、了解していなかった罪の意識が芽生え、短いながらも頭痛がするほどの涼感。曇天の闇夜に、閃光の如く背筋を冷やしてくれる怪奇な一品です。[/say]
宮部みゆき『おそろし 三島屋変調百物語事始』
- 料理名:曼珠沙華の百本浸し
- 食材ご提供:妙味深淵の毒溜まり、ひなたのくらげ様(@Qdarixian_majiq)
17歳のおちかは、ある事件を境に、ぴたりと他人に心を閉ざした。ふさぎ込む日々を、叔父夫婦が江戸で営む袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と働くことでやり過ごしている。ある日、叔父の伊兵衛はおちかに、これから訪ねてくるという客の応対を任せると告げ、出かけてしまう。客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていき、いつしか次々に訪れる客のふしぎ話は、おちかの心を溶かし始める。三島屋百物語、ここに開幕。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]一話一話丁寧に綴られる暗黒の御遊戯、百物語。NHKではスペシャルドラマ化もされた本作品。ぜひ、闇を纏う紙媒体でお楽しみください。[/say]
貴志祐介『新世界より』
- 料理名:割れたリンゴ入り幼形成熟ボックス
- 食材ご提供:換骨奪胎の鬼面二輪車、西犀瀬真様(@zakkykikuri)
子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。
いつわりの共同体が隠しているものとは――。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる!
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]子どもたちの恐ろしくも悲しい運命。力をあわせて、裏切り、引き離されて彼らはどこへ向かいのでしょう。圧倒的スケールで描かれる神秘の逸品です。[/say]
スープ~Soupe~
喉を潤しながら、同時に食欲も満たす魅惑のスープです。さぁ、冷めないうちに…
岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』
- 料理名:女郎が運んでくる真っ赤なポタージュ
- 食材ご提供:天中殺行き銀河魔列車、しげる様(@mizukihonyomu)
―教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた…。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]人間とはかくも恐ろしい生き物。私達闇の住人でも、震え上がってしまうような逸話が多数ございます…たった一枚化けの皮を外してしまえば、どちらが闇側の存在なのか、分かったものではありませんな…[/say]
道尾秀介『背の眼』
- 料理名:揺蕩う生首の溜り水
- 食材ご提供:不整脈な堕天使の托卵、エッグさん様(@Ejov8LnPwZcwrtd)
「レエ、オグロアラダ、ロゴ…」ホラー作家の道尾が、旅先の白峠村の河原で耳にした無気味な声。その言葉の真の意味に気づいた道尾は東京に逃げ戻り、「霊現象探求所」を構える友人・真備のもとを訪れた。そこで見たのは、被写体の背中に二つの眼が写る4枚の心霊写真だった。しかも、すべてが白峠村周辺で撮影され、後に彼らは全員が自殺しているという。道尾は真相を求めて、真備と助手の北見とともに再び白峠村に向かうが…。未解決の児童連続失踪事件。自殺者の背中に現れた眼。白峠村に伝わる「天狗伝説」。血塗られた過去に根差した、悲愴な事件の真実とは?第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]不気味で不可解な事件。息もつかせぬ展開に、一気食いしてしまうことでしょう。火照った体を冷やしてくれる冷感清涼なスープを召し上がれ…[/say]
長岡弘樹「蟻穴」(『教場』に収録)
- 料理名:瞬間接着剤のコンソメスープ
- 食材ご提供:幻惑の殺戮機械、strytllr様(@strytllr1)
希望に燃え、警察学校初任科第九十八期短期過程に入校した生徒たち。彼らを待ち受けていたのは、冷厳な白髪教官・風間公親だった。半年にわたり続く過酷な訓練と授業、厳格な規律、外出不可という環境のなかで、わずかなミスもすべて見抜いてしまう風間に睨まれれば最後、即日退校という結果が待っている。必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩。それが、警察学校だ。週刊文春「二〇一三年ミステリーベスト10」国内部門第一位に輝き、本屋大賞にもノミネートされた“既視感ゼロ”の警察小説。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]能力者というものは、時にその能力に溺れてしまうもの。しかし、慎重にしていても厄介事に巻き込まれてしまうものでもあります。運命とは皮肉なものでございます…[/say]
小野不由美『鬼談百景』
- 料理名:九十九神のドリンク&スープバー
- 食材ご提供:死戯を映す肉球の黒水晶、Bastet様(@ThrushBird666)
学校に建つ男女の生徒を象った銅像。その切り落とされた指先が指し示す先は…(「未来へ」)。真夜中の旧校舎の階段は“増える”。子どもたちはそれを確かめるために集合し…(「増える階段」)。まだあどけない娘は時折食い入るように、何もない宙を見つめ、にっこり笑って「ぶらんこ」と指差す(「お気に入り」)。読むほどに恐怖がいや増す―虚実相なかばする怪談文芸の頂点を極めた傑作!初めての百物語怪談本。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]怪異がそこかしこに蠢く情景。そんなに困った顔をしないで、よく見てやってください。彼らは心から悦び、お客様をおもてなしすることでしょう…[/say]
魚料理〜poisson〜
続いて、魚料理をお持ちいたしました。まだまだ晩餐会は続きます…
三津田信三『のぞきめ』
- 料理名:凝視するイクラと舌平目のムニエル
- 食材ご提供:血塗れ石の暴君偶像、ダヴィデりょう様(@geizyutuman)
辺鄙な貸別荘地を訪れた成留たち。謎の巡礼母娘に導かれるように彼らは禁じられた廃村に紛れ込み、恐るべき怪異に見舞われる。民俗学者・四十澤が昭和初期に残したノートから、そこは“弔い村”の異名をもち“のぞきめ”という憑き物の伝承が残る、呪われた村だったことが明らかとなる。作家の「僕」が知った2つの怪異譚。その衝撃の関連と真相とは!?何かに覗かれている―そんな気がする時は、必ず一旦本書を閉じてください。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]視線を感じたら、もう終わり。いや、始まりといった方が適切かも知れませんね…気軽に口にした者を死へと手招く、香り高い逸品です。[/say]
飴村行『粘膜人間』
- 料理名:異常生物のスライム肉饅頭
- 食材ご提供:船蟲羅漢の圧迫面接、森林浴様(@sinrinyokua)
「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]このメニューをつくった飴村氏。感性のブレーキはとっくの昔に外れてしまっているようです。途方も無い狂気のホラーを味わいたい方は、ぜひこちらをお召し上がりください…[/say]
郷内心瞳『花嫁の家』
- 料理名:ピチピチ跳ねる生人形の踊り喰い
- 食材ご提供:一瞥破顔の窮鼠喰い、コナン ザ グソク ファルコニア様(@sxLK2J9c27Wi52D)
拝み屋を営む著者が、これまで一度も最後まで語ることも記録に残すことも許されなかった。忌まわしき怪異譚をここに開陳する。“花嫁が必ず死ぬ”といわれる東北の旧家では、これまで代々の花嫁が数年の内に亡くなっていた。この家に嫁いだ女性から相談を受けた著者は、幾度も不可解な現象に悩まされる―。戦慄の体験談「花嫁の家」と、「母様の家」の連作2篇を収録した怪談実話集。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]事実は小説より奇なり。実話を元にした本メニューは、リアルな触感で味わう者を恐怖に陥れることでしょう。[/say]
ソルベ~sorbet~
ここらで一旦お口直し。ソルベのお時間です。芯から冷える品々をお召し上がりください。
音井千明『誘う女』
- 料理名:冷やし臓腑
- 食材ご提供:屍人色の鈎尻尾、ノラ様(@bluegrayeye)
今から十五年前くらいだろうか。
この時の事は今でもはっきりと覚えている。これがきっかけで数々の心霊体験をすることになったのだからーー。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]こちらも実話を元にした、とある一夜の怪異譚でございます。耳元で聞こえる声。強ばる体。まるで時が止まってしまったかのような感覚をぜひ、お召し上がりください。[/say]
▼『誘う女』のリンク
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883801149/episodes/1177354054883801266
中野京子『怖い絵』
- 料理名:氷の微笑のアフォガード
- 食材ご提供:ハーメルンの暗黒雅楽、伊織様(@wx3kRYVCFkiTReh)
一見幸せな家族『グラハム家の子どもたち』…けれど、この絵の完成後?スポットライトを浴びるドガの『踊り子』…じつは、この時代のバレリーナは?キューピッドのキスを受ける豊満な裸体『愛の寓意』…でもほんとは、このふたり?名画に塗り込められた恐怖の物語。心の底からゾッとする名画の見方、教えます。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]綺麗な薔薇には棘がございます。人々が美しいと賛美するかの名画達にも、恐ろしい毒が含まれているものです。すべてを知ることは、本当は危険なことなのかも知れませんな…[/say]
恩田陸『六番目の小夜子』
- 料理名:緋色の花びらのフリーズドライ
- 食材ご提供:叛逆鉄槌の養殖魚、とぅーん様(@thunfisch_book)
津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]『蜜蜂と遠雷』『夜のピクニック』など、感動的な青春小説で著名な恩田陸氏ですが、芯から冷えるミステリで実は真価を発揮なさいます。ドラマ化もされたデビュー作。ぜひお召し上がりください。[/say]
肉料理~viandes~
さぁ皆様、お待ちかねの肉料理でございます。恥じらいは無用です。大きなお口で豪快に召し上がってくださいませ。
泉鏡花『眉かくしの霊』
- 料理名:桔梗ヶ池産の鶫肉のロースト
- 食材のご提供:密告画廊の生彫刻、みっくん様(@Mikkunbooklover)
北陸敦賀の旅の夜、道連れの高野の旅僧が語りだしたのは、飛騨深山中で僧が経験した怪異陰惨な物語だった。自由奔放な幻想の中に、唯美ロマンの極致をみごとに描きだした鏡花の最高傑作『高野聖』に、怪談的詩境を織りこんだ名品『眉かくしの霊』をそえておくる。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]明治後期から昭和初期にかけて活躍された幻想文学の旗手、泉鏡花氏。氏の最高傑作と名高い『高野聖』と同収録の、これまた泉怪談の最高傑作、眉かくしの霊。贅沢な逸品です。[/say]
小野不由美『残穢』
- 料理名:地獄亡者の千年煮込み
- 食材ご提供:
蠱毒貪慾の悪書ソムリエ、あき様(@aki_bookshelf)
空虚暗黒の遮光器土偶、ハニハニ様(@haniwa_0000)
暴虐の無限廻廊、百一文庫様(@Onehundred_Ichi)
同族蠱惑の偽木天蓼、冴月様(@saetsuki_0)
一身腐乱の夜光蟲、本の虫様(@hon_no_mushihon)
この家は、どこか可怪(おか)しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が……。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢(けが)れ」となり、感染は拡大するというのだが──山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]今回、最も持ち込みの多かった、キング・オブ・闇の供物でございます。煮込みに煮込まれた怨念・情念・カルマ…一口食べれば、宴もたちまちパンデミックと化すことでしょう…[/say]
↓倶喰旨士によるネタバレ解説記事はこちら
澤村伊智『ぼぎわんが、来る』
- 料理名:胃壁引っ掻き肉のウェルダン
- 食材ご提供:
愚者安楽の死重奏、四つ葉様(@clover_frm_a)
邪眼の魔導士、はるたま様(@Harutama115617)
“あれ”が来たら、絶対に答えたり、入れたりしてはいかん―。幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。それ以降、秀樹の周囲で起こる部下の原因不明の怪我や不気味な電話などの怪異。一連の事象は亡き祖父が恐れた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか。愛する家族を守るため、秀樹は比嘉真琴という女性霊能者を頼るが…!?全選考委員が大絶賛!第22回日本ホラー小説大賞“大賞”受賞作。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]ぼぎわんを召し上がるときは、じっくりと火を通すことをお忘れなきよう。ウェルダンですら、胃の中を引っ掻き回されるほどの生命力です。以前、忠告を無視してミディアムレアで召し上がった方は、逆に体内から食らい付くされてしまいました…とにかく、恐ろしい食材です。[/say]
貴志祐介『黒い家』
- 料理名:心無い男女の骨付き肉ディアボロ風
- 食材ご提供:
漆黒九尾の手鞠猫、ぬぬに様(@nununi)
首廻し癖の夜型画伯、フクロウ好き様(@Bookwoman0505)
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに…。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]このメニューは珍しく、人間以外の怪異が登場しないようですね。それでもこの逸品が長く愛される理由は、やはり人間の悪意が一番恐ろしい、ということだからなのでしょう…[/say]
綾辻行人『殺人鬼 ‐‐覚醒篇』『殺人鬼 ‐‐逆襲篇』
- 料理名:原型不明のハンバーグ
- 食材ご提供:
琥珀血眼の脱兎、Kaori様(@kaori868610)
闇執事 倶喰旨士(@umaigos)
伝説の傑作『殺人鬼』、降臨!!’90年代のある夏。双葉山に集った“TCメンバーズ”の一行は、突如出現したそれの手によって次々と惨殺されてゆく。血しぶきが夜を濡らし、引き裂かれた肉の華が咲き乱れる…いつ果てるとも知れぬ地獄の饗宴。だが、この恐怖に幻惑されてはいけない。作家の仕掛けた空前絶後の罠が、惨劇の裏側で読者を待ち受けているのだ。―グルーヴ感に満ちた文体で描かれる最恐・最驚のホラー&ミステリ。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]圧倒的で徹底的で猟奇的なバイオレンス。そして綾辻節のミステリ要素も…好みは分かれるでしょうが、私は瞬時に病みつきになりました。なに、ただのトラウマ料理でございます…[/say]
貴志祐介『悪の教典』
- 料理名:乱切りサイコロステーキに自己都合を添えて
- 食材ご提供:神断ちの妖刀・逢魔時、みつき様(@hitohira__)
とびきり有能な教師がサイコパスだったとしたら、その凶行は誰が止められるのか?
晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAから信頼され彼らを虜にしていた。そんな〝どこから見ても良い教師〟は、実は邪魔者は躊躇いなく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。少年期、両親から始まり、周囲の人間をたいした理由もなく次々と殺害してきたサイコパス。美形の女生徒をひそかに情婦とし、同僚の弱みを握って脅迫し、〝モリタート〟の口笛を吹きながら、放火に殺人にと犯行を重ねてゆく。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]本メニューでは、感情のブレーキの外れた殺人鬼が登場しますが、実は誰しもがサイコパスになりうるそうです。味わいながら、その素質を開花させぬよう、気を確かに保つよう、ご注意を…[/say]
京極夏彦『姑獲鳥の夏』
- 料理名:百鬼夜行の栄養食、姑獲鳥の早贄
- 食材ご提供:換骨奪胎の鬼面二輪車、西犀瀬真様(@zakkykikuri)
この世には不思議なことなど何もないのだよ―古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]天下の闇作家、京極夏彦師の映えあるデビュー作にして、超人気メニューでございます。メフィスト賞創設のきっかけともなった、闇の時代を切り拓いた記念碑的逸品。食さない訳にはいきません…[/say]
米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』『満願』
- 料理名:アミルスタン羊のラムチョップに背徳柘榴のソースをかけて
- 食材ご提供:瓦礫住まいの幽波紋導師、まも様(@XZfTOl6OueSMm8R)
『儚い羊たちの祝宴』
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。
『満願』
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]まも様ご提供の二品。お互いに全く別の作品ですが、私は対照的な印象を抱いています。登場人物が心に闇を飼っている『満願』と、登場人物が闇に心を飼われている『儚い羊たちの祝宴』。表裏一体のダークネスを感じます。ぜひ、ご一緒にお召し上がりください…[/say]
サラダ〜salade〜
栄養が偏ってはいけません…サラダで体を中和しながら、宴をお愉しみくださいませ。
平山夢明「或る愛情の死」(『或るろくでなしの死』に収録)
- 料理名:狂ったママの愛情サラダ
- 食材ご提供:監獄城の夢幻舞踏会主賓、想識様(@SakuhinMemo)
良識を示そうとした浮浪者が誰にも相手にされずに迎える「或るはぐれ者の死」、他国で白眼視されながら生きる故郷喪失者の日本人が迎える「或る嫌われ者の死」、自らの欲望に女の子を奉仕させようとしたくだらない大人が迎える「或るろくでなしの死」、過去の栄光をよすがにダメな人生をおくるぼんくらが迎える「或る英雄の死」…。本人の意志や希望と関係なく不意に訪れる7つの“死”を描いた傑作短編集!
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]7つの死。それはひとくくりにされるべきものではないかも知れませんが、或る種の規則性を持ち同じ舞台に立つ。そこには美しささえ感じられるかも知れません。[/say]
ジョージ・オーウェル『一九八四年』
- 料理名:統制の取れた監視栽培野菜のバーニャカウダ
- 食材ご提供:蓋無し茶壺の底剥がし、KKWT様(@KKWT0432346)
“ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は、完璧な屈従を強いる体制に以前より不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。二十世紀世界文学の最高傑作が新訳版で登場。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]ビッグ・ブラザーといえば、平沢進師匠の核P-MODEL『ビストロン』に収録の名曲もそうですね。モチーフはおそらくここからなのでしょう。全能のビッグ・ブラザー…[/say]
神狛しず『京都怪談 おじゃみ』
- 料理名:京女の怨念風・ねばとろサラダ
- 食材ご提供:魑魅魍魎の血判状、たぬき四郎様(@tanuki_yonro)
古民家に暮らす妻、由緒ある家に嫁いだ若奥様、古くからの町家で祖母・母と暮らす妙齢の女性、京都の大学生、女子高の生徒…。さまざまな「京おんな」の生きざまを描く六つの怪異物語。『ダ・ヴィンチ』『幽』主催第4回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]タイトルと表紙の雰囲気に騙されてはいけません。京都を舞台としたおどろおどろしい怪異譚でございます。それでも一息に召し上がりになられる方が多いのは、読みやすい独特の文体だからでしょうか。[/say]
チーズ〜fromages〜
濃厚で、さっぱりで、口の中に余韻を残す絶品チーズをご用意いたしました。
貴志祐介『天使の囀り』
- 料理名:密林産、死を呼ぶ水牛のモッツァレラチーズ
- 食材ご提供:
万年脳震盪のゴッドハンド、伊月様(@Izukiyuk)
磁性水銀の愛玩獣、青日様(@dokushodiary)
北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]じわじわと口の中で恐怖が広がっていく至高の一品です。しかしお気をつけ下さい。天使の囀りが聞こえたら…すぐに、手を止めてください。おや、もはや手遅れのようですね…[/say]
綾辻行人『眼球綺譚』
- 料理名:VIP専用・罪深き一点物のチーズフォンデュ
- 食材ご提供:八咫烏色の珈琲車厘、きりさめんたいこ様(@kirisamentaiko)
人里離れた山中の別荘で、私は最愛の妻・由伊とふたりで過ごしていた。妖精のように可憐で、愛らしかった由伊。しかし今はもう、私が話しかけても由伊は返事をしない。物云わぬ妻の身体を前にして、私はひたすらに待ちつづけている。由伊の祝福された身体に起こる奇跡―由伊の「再生」を(「再生」)。繊細で美しい七つの物語。怪奇と幻想をこよなく愛する著者が一編一編、魂をこめて綴った珠玉の作品集。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]ああああああ[/say]
貴志祐介『クリムゾンの迷宮』
- 料理名:殺し合う電脳青カビのゴルゴンゾーラ
- 食材ご提供:招かれざる漆人目、run4yourlife様(@hedfuc14)
戦慄の新感覚ゲームノベルが、新装丁・コレクターズアイテム版で再登場! !
藤木はこの世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を覆う、深紅色の奇岩の連なり。ここはどこだ?傍ら携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]サバイバルゲームはお好きでしょうか。それならば、ぜひ本料理を味わってからもう一度本当に「サバイバルゲームが好き」と言えるかどうか、お試しください…[/say]
スティーヴン・キング『ペット・セマタリー』
- 料理名:腐臭を放つ何か
- 食材ご提供:神殺しの扇動書記、柳永千哲様(@yanagachisato)
都会の競争社会を嫌ってメイン州の美しく小さな町に越してきた、若い夫婦と二人の子どもの一家。だが、家の前の道路は大型トラックがわがもの顔に走り抜け、輪禍にあう犬や猫のために〈ペットの共同墓地〉があった。しかも、その奥の山中にはおぞましくも…。「あまりの恐ろしさに発表が見あわせられた」とも言われた話題作。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]決して越えてはならない一線。人はその一線を越えてまで手に入れたいものがある時、逡巡の後に、やはり越えてしまうのでしょう。それを一口に愚かと呼んでしまうのは、少し浅はかなのかも知れません。海外からの名高い舶来品です。[/say]
デザート〜Entremets〜
宴もいよいよ後半となりました。デザートのお時間です。しかし油断なさらぬよう。これまでの料理よりも恐ろしい品々が手ぐすねを引いて待っております…
五十嵐貴久『リカ』
- 料理名:執拗に血糖値を上げたがる暗黒糖質の死にたがりブラマンジェ
- 食材ご提供:
砂上の楼閣・統括支配人、トシロー様(@shinyamake)
電脳取引の枢軸卿、とちぼう様(@tochiyoo)
裂傷蹴鞠の糜爛赤札、ふっかー復活委員長様(@FUKKA_Revive)
妻子を愛する42歳の平凡な会社員、本間は、出来心で始めた「出会い系」で「リカ」と名乗る女性と知り合う。しかし彼女は、恐るべき“怪物”だった。長い黒髪を振り乱し、常軌を逸した手段でストーキングをするリカ。その狂気に追いつめられた本間は、意を決し怪物と対決する。単行本未発表の衝撃のエピローグがついた完全版。第2回ホラーサスペンス大賞受賞。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]男性諸氏には刺激が強すぎるメニューかも知れません…!!?あああああああああああああああああああああああ来ないでくださいいいいいいいいいいいいいいい[/say]
松村比呂美「蜜腺」(『アンソロジー 捨てる』に収録)
- 料理名:平衡感覚を破壊する極端に甘いシロップ
- 食材ご提供:苛政猛虎の調教師、とらみな様(@tramina_tramine)
人気の女性作家9名が贈る書き下ろし短篇! 小説
柴田よしき・大崎梢・光原百合・福田和代・松村比呂美・近藤史恵・永嶋恵美・篠田真由美・新津きよみ。作家発! 『捨てる』小説集。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]9人の女流作家が集い、同じく晩餐会を開いた記録なのでしょうか。女性だけの場で語られた強烈なエピソード。その中でも背筋を冷やす松村比呂美氏のお話に、耳を傾けてみてはいかがでしょうか。男性諸君には、少々耳に毒かもしれませんね…[/say]
緑川誠司『終わらない怪談 赤い本』
- 料理名:レッドブック・ミルフィーユ
- 食材ご提供:夏の妖狐之散弾銃、しなみ様(@shinami_honmusi)
新居の屋根裏で、『赤い本』という怪談を見つけたわたし。本を読み進むうちに、自分のまわりでも同じような恐怖が起こり始める…。やみつき必須の怪談短編集。小学校上級~。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]子ども達が読みたがり、しかし読んだことを後悔する魅惑の「赤い本」。本日の餌食は、さて、どの子でしょうか…[/say]
三津田信三『凶宅』
- 料理名:スウィートホームの蛇入りショコラ
- 食材ご提供:鬼出神没の祟り魚、しいらかんす様(@Coelacanth_g)
山の中腹に建つ家に引っ越してきた、小学4年生の日比乃翔太。周りの家がどれも未完成でうち棄てられていることに厭な感覚を抱くと、暮らし始めて数日後、幼い妹が妙なことを口にする。この山に棲んでいるモノが、部屋に来たというのだ。それ以降、翔太は家の中で真っ黒な影を目撃するようになる。怪異から逃れるため、過去になにが起きたかを調べ始めた翔太は、前の住人の残した忌まわしい日記を見つけ―。“最凶”の家ホラー。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]家に恐怖をくっつけてはいけません…家は癒やしでなければならないと本気で思っている様な御仁は、召し上がるべきでは無いかも知れませんね…[/say]
フルーツ〜fruits〜
フレッシュなフルーツを食べて、胃腸に消化酵素を送り込んでください。明日からの活力になります。
鈴木光司『リング』
- 料理名:古井戸に浸した白装束の果実
- 食材ご提供:口無し奴隷のステークホルダー、masato. 様(@masato_now)
同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。―そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。静かにビデオが始まった…。恐怖とともに、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]このメニューほど、日本国民を震撼させた逸品はないのではないでしょうか。今その価値が再度見直され始めています。問答無用の名作ホラー。まだの方は、ぜひご賞味あれ。[/say]
江戸川乱歩『芋虫』
- 料理名:静止するキャタピラーフルーツ
- 食材ご提供:不眠不休のバベル病、杏栞しえる様(@arc_en_ciel_lib)
時子の夫は、奇跡的に命が助かった元軍人。両手両足を失い、聞くことも話すこともできず、風呂敷包みから傷痕だらけの顔だけ出したようないでたちだ。外では献身的な妻を演じながら、時子は夫を“無力な生きもの”として扱い、弄んでいた。ある夜、夫を見ているうちに、時子は秘めた暗い感情を爆発させ…。表題作「芋虫」ほか、怪奇趣味と芸術性を極限まで追求したベストセレクション第2弾。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]当初、夜に発売することをためらわれたという、倫理観を崩しかねない問題作。それゆえに甘美な恐怖を味わうことができるでしょう。恐ろしい…[/say]
綾辻行人『Another』
- 料理名:終局を見通す採れたて碧眼玉
- 食材ご提供:絡繰り牢獄の肉折紙、瑞貴様(@mi_zu_key_)
夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい何が起きているのか!?いまだかつてない恐怖と謎が読者を魅了する。名手・綾辻行人の新たな代表作となった長編本格ホラー。
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]綾辻行人先生の新定番ホラーと名高い、Another。こちらには続編もございます。一口食べれば、最期までその手は止められなくなる事請け合いです。[/say]
食後のコーヒー〜espresso〜
長かった宴もお開きの時間が近づいてまいりました。食後のコーヒーをお飲みいただき、現実世界へとお戻りになる心づもりをお願いいたします。おや、しかしこのメニューでは逆に迷ってしまうやも知れませんな…
芹沢央『火のないところに煙は』
- 料理名:虚実混濁のエスプレッソ
- 食材ご提供:
衰閉離蔑墓苦之腐音、Four Elements様(@FourElements14)
死神犬の鎖鎌、MOGU様(@MOGU42429147)
賽之河原の報道機関「サザレイシ」、あべし様(@honjituno)
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の「私」は、かつての凄惨な体験を振り返る。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。「私」は、事件を小説として発表することで情報を集めようとするが―。予測不可能な展開とどんでん返しの波状攻撃にあなたも必ず騙される。一気読み不可避、寝不足必至!!読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]これは現実か、はたまた虚構か…それは貴方がたご自身の眼でお確かめください。たっぷり涼みながら、まどろむのも悪くはありません…[/say]
お土産〜souvenir〜
せっかくですので、お帰りになる前にこちらをお持ちください。きっとご家族も悦ばれることでしょう…
2chの怖い話『猛スピード』
- 料理名:双眼鏡越しの笑顔
- 食材ご提供:黒怪図書館・有害図書室総代、渡部 尊様(@al060238)
漏れにはちょっと変な趣味があった。その趣味って言うのが、夜中になると家の屋上に出てそこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。
いつもとは違う、静まり返った街を観察するのが楽しい…
[chat face=”unou2019dark.png” name=”倶喰旨士” align=”left” border=”blue” bg=”blue” style=”maru”]夜中に除くのは、天体望遠鏡と相場が決まっています。決して双眼鏡で夜の街を覗いてはなりません…闇には闇が徘徊しているものです。[/say]
▼2chの怖い話「猛スピード」のリンク
https://xn--u9jv84l7ea468b.com/kaidan/20wa.html
宴の終わり
いかがでしたでしょうか。暑い夏を凍てつかせる怖い小説による大晩餐会。この上ない食材が集まり、料理人も大変興奮しておりました。すべて召し上がるには時間がかかるかも知れませんが、ぜひ気になったメニューからご賞味ください。
最期までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
またお会いできますことを、心より愉しみにしております。
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