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2021年に読んで良かったおすすめ小説ベスト10(ネタバレなし)

〈※本記事のリンクには広告を含みます〉

2020年に読んだ小説の個人的ランキング、ベスト10冊をご紹介します。ネタバレなし。何かの参考になれば幸いです。

2021年は小説を91冊読みました。どれも面白かったし心に残るものばかりでしたが、その中からあえて10冊に絞ってご紹介します!

目次

1位:『三体Ⅲ 死神永生』劉慈欣

2020年の私のベスト10にもランクインした『三体』シリーズ完結編。

地球外知的生命体(というか文明)とのコンタクトによって巻き起こる物語。超化け物SFです。

『三体』Ⅰでは地球規模の大事件が起きてこの先どうなるんだと胸が高鳴り、

『三体Ⅱ 黒暗森林』では宇宙規模の半端ない出来事の到来にただ震え、

『三体Ⅲ 死神永生』では神話級のクソデカ風呂敷が丁寧に畳まれる快感プライスレス。

下巻は正直頭痛がするほどのめり込みました。

『三体』も『三体Ⅱ 黒暗森林』も『三体Ⅲ 死神永生』も、それぞれの作品内に「これだけで一つの作品が書けるよね?」と言うようなアイデアが、作品を構成する要素として惜しみなく放出されています。その濃厚さ、密度たるや圧巻です。

それなのに、下巻のラストではそのこれでもかと広げられた風呂敷が見事に畳まれます。同じく2021年に観た『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のカタルシスに近いものを感じました。うわ溶ける、溶ける…と思いましたね。

人類必読。ぜひ読みましょう!

著:劉 慈欣, 翻訳:大森 望, 翻訳:ワン チャイ, 翻訳:光吉 さくら, 翻訳:泊 功
¥1,186 (2024/06/24 15:43時点 | Amazon調べ)
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2位:『ペッパーズ・ゴースト』伊坂幸太郎

2020年に全作品を一気読みして見知らぬ存在から心の伴侶にまで見事昇格した伊坂幸太郎さんの、待ちに待った最新刊。あまりサイン本を入手すること自体には個人的に情熱をかけるタイプではないのですが、これに関してはサイン本をゲットできてホクホクです。

『ペッパーズ・ゴースト』は、伊坂さん本人も

興味のあることや好きなもの、心配なことや怖いことを詰め込んだところ、今までの自分の小説の特徴が集まったような物語になりました。

初回封入ポストカードにも記載

と言うように、まさに伊坂幸太郎のトッピング全部のせスペシャルメニューの様な作品でした。栄養価が恐ろしく高い。

伊坂作品の良いところ5つ
  • 気持ちの良い伏線回収
  • 魅力的な登場人物
  • 人生を照らしてくれるような光が差し込む爽やかな読後感
  • 名言ラッシュ
  • 毎回取り入れられる実験的要素
ここら辺の要素は全部入ってます

ちなみに伊坂作品を一番最初に読むなら個人的には『砂漠』『チルドレン』『陽気なギャングが地球を回す』『逆ソクラテス』の4冊をどれかがオススメです。『ペッパーズ・ゴースト』を一冊目に持ってくるのも全然アリですが、欲張って全部のせメニューをより美味しく味わうためには、やはり数冊は読んでから本書にトライして欲しいのが本音です。

私は読みながら謎の「ありがとう」の念が溢れてしまい、途中読み進められなくなるタイミングが何度もありました。しかし、半分を超えたらもう怒涛の一気読みでした。大好き。

You Tubeでも紹介しました
著:伊坂 幸太郎
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3位:『四畳半神話大系』森見登美彦

2020年は伊坂幸太郎作品を、2021年は森見登美彦作品を未読状態から最新刊『四畳半タイムマシンブルース』まで読みました。その中からのベスト本です。

森見登美彦作品はクセが強いと言われることがあります。それは本人の文学への愛と、愛ゆえの戸惑いがそのまま文体に現れているからなのではないかなと思います。小説ですが、時々魂の叫びの様な熱量を帯びていたり、色々考え過ぎてしまうからこその偏屈っぷりなどがにじみ出ている言い回し。そして本人の元々の文学的スペックの高さゆえの表現などなど…最高なんですけどね。合わない人にはとことん合わないのかも知れません。私は幸いなことに、ドハマリしました。

『四畳半神話大系』もご多分に漏れずクセの強い作品ですが、アニメ化もされていることから熱狂的なファンも多い森見登美彦さんの出世作(正確には出世作はこの次の『夜は短し歩けよ乙女』かも知れませんが)です。

本作については個別記事も書いているので、よろしければ。私なりの愛ですよ。

著:森見 登美彦
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4位:『ハーモニー』伊藤計劃

お恥ずかしながら伊藤計劃作品、前作である『虐殺器官』をまだ読んでいません。こちらも物凄い傑作だし、本来であれば『虐殺器官』の後に『ハーモニー』を読むべき、とは聞いていましたが、やっちゃいました。しかし息を呑むほど面白かった。

かつて起きた『大災禍』後、すべてが管理され、人類には完全なつくりものの平和が訪れているユートピア的世界。少女霧慧トァンがそこで見たものは何か。幸せとはなにか。生きるとはなにか。自我とは、意識とはなにか。わたしとはなにか。あなたとはなにか。感情とは、一体何なのか?

物語や、話を構成する思想や哲学にも大変考えさせられましたが、個人的にとても好きなのがETMLというタグを使った特徴的な表現です。

<shout>
  こぉぉの声が聞こえぇぇぇるかい?
  ♪『Calling』
</shout>

みたいな感じで記述される、話者の感情を文字で伝える技術です。これが『ハーモニー』の世界観の中でとても大事な役割を果たしているのですが、惚れます。ぜひ体感してください。

そして私はいつか、『虐殺器官』読みます…

著:伊藤計劃, イラスト:redjuice
¥792 (2024/11/02 19:50時点 | Amazon調べ)

5位:『兇人邸の殺人』今村昌弘

『屍人荘の殺人』『魔眼の匣の殺人』に続く葉山・比留子ペアの特殊設定ミステリシリーズ第3弾。(これ、「何シリーズ」って明確な呼称あるんですかね…?)『屍人荘』も『魔眼の匣』も見事でしたが、三作目にして極まった感があります。第4弾が楽しみになると同時に、次回作へのハードルをかなり高めに設置したなと震える一作です。

今村昌弘さんのミステリに対する愛と知識の深さ、そして応用・発展力の高さに脱帽です。ミステリとしてのプロットだけでなく、物語としても読みやすく続きが気になる内容なのでたまらない。

『屍人荘の殺人』を映画化したってことは、『魔眼の匣』も『兇人邸』も映画化するつもりってことですよね?

個人的に本と映画は全然別物だと思ってますが、今後の動きにも注目したいです。

6位:『自由研究には向かない殺人』ホリー・ジャクソン

「彼は殺人犯ではないと証明する。それが、わたしの自由研究。」

町で起きた失踪事件の犯人〈とされている〉少年の無実の証明をテーマに、自由研究を行う少女ピップ。関係者達に重ねるインタビュー、浮上する沢山の容疑者…研究レポートやSNSチャット画面等、臨場感溢れる現代風な捜査が楽しい。そして明るく真っ直ぐなピップの瑞々しさに、気づけば応援しまくり!

子を見守る親の気持ちでハラハラドキドキしながら、581ページを一気読みしました。面白かった!!

著:ホリー・ジャクソン, 翻訳:服部 京子
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7位:『華氏451度』レイ・ブラッドベリ

本という誤った思想を広める「オールドメディア」はすべて昇火士という存在が燃やす。その所持者は逮捕。本は悪。という架空の世界を舞台にしたディストピア小説。架空の世界でも、私たちが住む世界の皮肉を痛烈に感じるし、胸に迫るものが多々ある傑作です。

個人的には署長がとんでもない理論で主人公をやり込めるシーンの圧がお気に入りです。ダメ、パワハラ、ゼッタイ。

著:レイ ブラッドベリ, 翻訳:伊藤 典夫
¥473 (2024/11/02 19:50時点 | Amazon調べ)

8位:『悪童たち』紫金陳

2021年、イヤミスを集中的に読みたい時期があって色々紹介してもらって読んだ中の1冊。

優等生、脱獄囚、その妹分。3人の子どもが殺人の現場を偶然ビデオに収めてしまい…衝撃の展開に一気読み確実。Netflixで映像化されて社会現象を起こした華文サスペンス。

作品内で衝撃的シーンが何回もでてきます。しかし半端じゃなく面白い。映像化する方は興奮しながら作ったんだろうなと、サイコパスだなと思います。たいへんよくできました。

前述の『自由研究には向かない殺人』も親の気持ちになってハラハラドキドキしながら読めましたが、こちらは悪い意味で同じく親の気持ちになってオロオロドキドキしながら読みました。最高です。

著:紫金陳, 翻訳:稲村 文吾
¥594 (2024/11/05 23:43時点 | Amazon調べ)
著:紫金陳, 翻訳:稲村 文吾
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9位:『神様ゲーム』麻耶雄嵩

8位の『悪童たち』に続き、おすすめしてもらったイヤミス本。これもまぁとても良かったですね。

同級生の鈴木くんはどうやら「神様」らしい。近所で起きた猫殺し事件を解決してくれそうな鈴木くん。しかし何やら話はおかしな方向に…元々講談社の子供向け推理小説のシリーズ「講談社ミステリーランド」第7回として出された作品。しかしこれを子供向けとするには酷ですよね。麻耶先生!!抗議だ!抗議の電話だ!!と言いたくなるほど後味の悪い作品です。

要するにとっても読みやすくてとっても後味悪くてメッチャメチャ最高なので、みんな読もう。

著:麻耶雄嵩
¥583 (2024/11/12 23:49時点 | Amazon調べ)

10位:『絶望ノート』歌野晶午

8位、9位と続きこちらもおすすめしてもらったイヤミス作品。

壮絶ないじめをうける中二の照音。恨みを書き綴った「絶望ノート」の存在。神の石。照音の周囲で起こる不可解な死亡事故。捜査を始める警察。そして…

こちらもなかなかの後味の悪さですが、しっかり驚きの仕掛けも用意されていて、それ以上にまた物語が面白い。文体に暗いいじめられっ子の魂の叫びを感じる。歌野晶午さんの没入させて読ませるミステリはたまりません。

本作は文庫本で647ページとなかなかの厚みがありますが、そんなことを感じさせない勢いがあります。心の闇と煮えたぎるマグマに全身やけどは必至です。バケツの水かぶってからの一気読みがオススメです。

著:歌野晶午
¥788 (2024/11/05 23:43時点 | Amazon調べ)

おわりに

ということで2021年に読んだ本の個人的ベスト10、いかがだったでしょうか。何かの参考になれば嬉しいですし、ぜひ読んだ感想を聞かせて欲しいです。そして、私の個人的ベスト10はこれだ!と教えてくれたらもっとありがたいです。本の感想は共有すると二倍楽しいらしいですよ。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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本に関するYouTubeもやっているので、ぜひ御覧ください!

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