読書をする者として、「正しい本の読み方・読書の技術」を知ることは大切です。これを知り正しく実践すれば、人生は必ず豊かになるでしょう。知らない手はありません。
これまで、名著『本を読む本』を教科書に、読書術4つのレベルをマスターするための記事を書きました。
今回はその番外編となる、「文学の読み方」編です。
これまで触れた4つのレベルは、主に「ノンフィクション」「教養書」の読み方でした。今回は「フィクション」「物語」の正しい読み方について。
《正しい読書術への道:リンク集》
・番外編「文学・物語の読み方」➡今回はコレ!
↓この本を教科書にしています!
『本を読む本』J・モーティマー・アドラー
文庫: 266ページ
出版社: 講談社 (1997/10/9)
文学・物語を読む時に「してはならない3つのこと」
まず第一に重要な点(逆説)があります。それは、
文学の読み方は、教養書の読み方より本当はずっと難しい。それなのに、
教養書より文学の読み方を心得ている人の方が多いように見える。ということです。
確かに、ある本が「面白かった」とは言うけど、じゃあ実際その本のどこが好き?と聞かれると答えられなくなる、言葉に詰まってしまう人は結構多い気がしますよね。私もそうです。意識して読まないと、うまく説明できません。
多くの文学は第一に「楽しませる」ものであって、読者に「教える」ものではありません。読者にとっても、教えられるより楽しむほうが遥かに楽です。でも、なぜ楽しいかを知ることは非常に難しいのです。「美は真より分析しにくい」のです。
ということで非常に難易度と自由度が高い「文学の読み方」ですが、まずは文学を読む時に「すべきではないこと」を知ることから始めるとよいでしょう。
1:文学の影響力に無防備であれ!
文学を読む時に、してはならないこと――。一番大事なことは、
「文学の影響力に抵抗してはならない」
ということです。「丸裸でぶつかっていけ!」ということです。
教養書を読むときは、目をいつもタカのように光らせて、すぐにでも襲撃できる態勢が必要ですが、文学を読む時にこれではいけません。
文学を読む時は、物語が心にはたらきかけるにまかせ、またはそれに応じて心が動かされるがままにしておかなければなりません。つまり、無防備で作品に対するということがとても重要です。
教養書を読む時も、文学を読む時も、積極的な姿勢が必要ですが、その姿勢の方向性が少し異なることはおわかりいただけたでしょうか?
優れた文学作品は、普通では得られないような深い満足を経験できるように計算され、描かれています。だから私たちも、文学を読む時は作家さんの思惑どおり、深みのある経験を目標とすべきです。読みながら疑ったり、感動を妨げるものは全て取り除く必要がある、ということです。
2:論理じゃなく、体験しろ!
2番目の、文学を読む時にしてはならないこと。それは、
「文学に名辞、命題、論証を求めない」
ということです。「考えるな、感じろ!」ということです。
文学と教養書とでは、そもそも学ぶものの属性が違うのです。教養書は、論理的に「すでに経験済みのこと」「これから経験できること」について教えてくれます。
文学は、「想像された経験」から読者が体験的に学ぶのです。教養書は教えることを第一の目的としていますが、文学は付随的に教えてくれるにすぎません。どう学ぶかは、読者次第、と言う所が大きいでしょう。
1:アラ探しばっかするな!
そして最後のしてはならないこと、それは
「知識の伝達の真実性や一貫性をはかる尺度によって文学を批判してはならない」
ということです。「粗探しばっかすんな!」ということ。
良い小説の「真実」は迫真性です。そこで体験として得られた真実こそが大事。作家が創造し、読者の内部に再創造された世界、架空の人物や事件の世界で起こった真実の物語があればよいのです。
小説で描かれた内容が事実とは間違っていたり、調査が雑で内容が荒かったりすれば、非難はされるでしょうが、そこにこだわるより、物語を体験せよ!ということですね。
以上の「してはならないこと」を念頭に置いて、小説、戯曲、詩の読み方を見ていきましょう。
小説の読み方
小説の読み方はシンプルです。
一気に、短時間で読め!
そして没入し、読みふけろ!
これが黄金ルールです。速く読まないと、物語の統一性が見失われやすい。そして、集中して読まないと、細部が目に入らない。
ここで「登場人物が多かったりすると、名前と顔が一致しないので、読んでてわからなくなるよ!」という声が聞こえてきます。
これも無視して、ガンガン読みましょう。
なぜか?パーティに行った時に出会った人の名前が最初はわからないようなものです。そこで立ち止まって、名刺を見ながら会話しないで立ち止まったりはしませんよね。
またさらに事件がどんなに錯綜していても、著者がきちんと読み進むうちに誰が重要で、何がキーだったかがわかるように、プロットが組まれています。だから、心配せずに物語に没頭して読めばよいのです。
戯曲の読み方
小説の読み方に加えて、
・舞台を観ている気になって読む
・全体がつかめたら、演出家になったつもりでセリフの言い方から動きまで俳優たちに具体的に指示しているつもりで読む
この2点を加えて読んでみましょう。
詩・抒情詩の読み方
これも小説のように、一息に読む、ということは基本です。
それに加えて、繰り返し・声を出して読むということが重要です。リズムを感じ、世界観を感じて、最終的に細部の理解に進めばよいでしょう。
優れた詩には、常に対立するイメージや概念の相剋があります。これは表面に現れず、暗示的に述べられることが多い。愛と時間、生と死、うつろう美と永遠など…繰り返し、繰り返し読みながら、感じる。これが詩の読み方の醍醐味です。
いかがだったでしょうか?
以上が「文学・物語の読み方」の内容でした。
とにかく、感じて味わう。作家さんの描いた世界に丸腰で飛び込んでいく。この読み方で、最高の読書体験を皆さんができますことを!
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『本を読む本』J・モーティマー・アドラー
文庫: 266ページ
出版社: 講談社 (1997/10/9)
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