47冊目『ジャニーズは努力が9割』霜田明寛
SMAP、TOKIO、V6、KinKi Kids、嵐、滝沢秀明、亀梨和也…元々特別な人間ではなかった彼らは一体、どんな努力をしたのか。そして、才能を引き出すスカウトの天才、ジャニー喜多川の“仕事の哲学”とは?贅沢すぎる勉強材料を元に「普通の人」がいかに社会で立ち回るべきか、どう育てるべきか?ということが学べる珠玉の一冊。
『ジャニーズは努力が9割』
(新潮社)
発売日:2019/7/31
ページ数:256ページ
霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』はこんな人にオススメ
- 人材育成担当者
- 「自分の才能」を育てて、自分なりの輝きを放ちたい人
- 頑張ってるのに、なんか評価されないと悩んでいる人
- 仕事の姿勢、哲学を学びたい人
- ジャニーズ好きな人
霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』要約と感想
人の可能性を開花させるための稀有な手引書
本当の“才能”とは、努力できること。そう、ジャニーズは教えてくれた―。司会や演技に果敢に挑戦する者、アイドルを極める者、人柄を磨く者…努力の仕方は十人十色。厳しい競争を勝ち抜いた、彼らの努力や人生哲学に光をあてる。そして、彼らを見抜き導いたジャニー喜多川の「育てる力」とは?膨大な資料から本人たちの言葉を選り抜いた、ゴシップ抜きのジャニーズ論。最強エンタメ集団から、人生を変えるヒントを盗む!
SMAP、TOKIO、V6、Kinki Kids、嵐、タッキー(滝沢秀明)、亀梨和也…いわゆる「スター」達は、表立ってそんな事は言わないが、その裏で誰よりも成功するための努力をし続けている。
生まれながらのスターなんて、そんなものは無い。凡人であろうが「覚悟」を持ち「努力」をやめなければ、誰でも輝くことができる。
ジャニーズタレントの魅力を知る本と思いきや、様々なケースを通じた「人の可能性」を開花させるための稀有な手引書になっています。人材育成担当者であれば、必読でしょう。
何より変わるためには「自分」が心を決める必要がある。だから本人が読み何かを感じてくれるのが一番早いが、なかなか「本を読め」と言われて読んでくれるほど甘くないのも現実。本人が軌道に乗るサポートをするために、育成担当者が読んでおくと、本書の豊富なケーススタディが参考になります。
そして後半では、人の可能性を本能的に見極めてスターダムにのしあげるスカウトの天才・ジャニー喜多川氏の能力についても言及されている。氏が重要視するのは「やる気」と「人間性」の2点のみ。様々なエピソードを興味深く知ることができた。
人に関わり、人を育て、人に稼いでもらう。
自分も含めて、人を成長させる立場の人間であればマスト。前向きになれる一冊です。
正しい努力のやり方は7通りある
新入社員、若手、下積み時代…まだ自分の立ち位置もわからない時、もちろん努力はするんだけど、間違った努力をして時間を無駄にしたくないですよね。著者の霜田明寛さんは、ジャニーズタレント16人の成功に基づく「努力」のやり方を法則化して、7通りに分別しています。
- 与えられたことを全力でやり続ける(堂本光一、滝沢秀明)
- 与えらえたことをやりながら、自分のやりたいことを続ける(岡田准一、堂本剛、大野智)
- 〝与えられたこと〟を頑張っていたら〝やりたいこと〟が見つかった(風間俊介、生田斗真、長瀬智也)
- 〝やりたいこと〟ができなくなったが、間接的に夢が叶った(亀梨和也、手越祐也)
- 〝与えられたこと〟に懐疑的な視点を持つことが自分の希少性を高める(櫻井翔、岡本健一)
- 〝与えられたこと〟がないときこそ日常を疎かにしない(伊野尾慧、丸山隆平)
- 未来図を描いて、今の行動を決める(中居正広、木村拓哉)
上司や教育担当者であれば、この7つを知って適材適所で才能を伸ばす「方向性」だけ示してあげれば、あとは本人次第で大物に化ける可能性は十分あります。
なぜなら、正しい方向に向けて努力し続ければ、必ずいつか目的地に着けるから。それは、本書で語られるジャニーズタレント達が身を持って教えてくれます。
大スターの「陰の努力」の逸話がズラリ
本書では16人の超有名ジャニーズタレントの「努力の逸話」が詳細に語られます。ここでは3人だけ、ピックアップします。
中居正広:非常識を常識化した男
中居くんと言えば、元SMAPのリーダーであり、バラエティ番組の司会として欠かせない存在。アドリブ力も高くて、どんな相手とも仲良し。プライベートな情報も押さえていて、芸能界の裏の裏まで情報が全て入ってくる生き字引…
なんてイメージ、ありませんか?本書を読むまでは私もそう思っていました。
しかし、実は中居くんの壮絶な「自分の立ち位置」を見つけるための努力と、膨大なインプットの努力によってできあがったキャラクターなのでした。
元々アイドルなのに「歌がヘタ」という最悪のハンデを背負った中居くん。この事実は有名です。一時は中居くんもボイルトレーニングを重ねて歌を改善しようとしたそうです。でも、「歌がヘタ→歌が普通にうまい」になった所で、他の天才的に歌唱力の高いアイドルやタレントには叶いません。じゃあ、どの道を自分は進めばよいのか。
そこでたどり着いたのが、「バラエティ番組の司会をするアイドル」でした。
当時はそんなアイドルはいなかったので、まさに荒唐無稽なアイデアですが、その道を目指すアイドルはいなかったので、必ず自分の立ち位置がそこにある。そう信じて、バラエティの司会にでるための努力を始め、現在の中居くんという唯一無二のポジションを築いたのです。
超売れっ子となった今でも、番組の台本は事前に隅々まで読み、ゲストのタレントの情報の事前収集を欠かしません。だからこそ、アドリブで発言できる引き出しの数が半端じゃない。これは「勉強しているかどうか」ということです。
まさに努力の方法7「未来図を描いて、今の行動を決める」を実践した男、と言えるでしょう。
堂本光一:〝捨てる勇気〟と〝託せる自信〟
KinKi Kidsの堂本光一くんは、与えられたことを疑わず、完璧にこなそうとする仕事の姿勢とこだわりを持っています。
「とにかく、純粋に、ただひたすら目の前の課題に取り組む」
非常に愚直で素直なやり方ですが、何も考えずにただ仕事をする、ということではありません。
目の前の課題をどうやったら「最高の形で」いい仕事ができるだろうか?そうやって考えて取り組む。超・積極的な仕事のスタイルです。
光一くんのライフワークである帝国劇場でのミュージカル『SHOCK』は、もともとジャニー喜多川の作・演出の舞台で、光一くんはそれを2000年から5年間続けた後に、2005年からは自らが構成・演出・プロデュースを務める形で『Endless SHOCK』にリニューアル。森繁久彌が持つ帝国劇場の単独主演記録を23年ぶりに更新、上演回数1,700回を越えても、発売と同時に全席完売、「日本一チケットが穫れない舞台」と言われる状況です。
超完璧主義がゆえ、抱えすぎてパンクしてしまうこともあった光一くんは、抱えている問題を「長引くもの」「長引かないもの」「自分ひとりで解決できるもの」「できないもの」に分けて整理した上で、一人で解決できるものはさっさと解決する。ダラダラ考えても答えが出ないものは、「考えない」というスタイルだそうです。
努力のやり方1「与えられたことを全力でやり続ける」を貫く男、光一くんが放つ清々しいかっこよさは、ここからきているのですね。
櫻井翔:「どこでもアウェイだった」
嵐のメンバー、櫻井翔くん。アイドル・役者・ニュースキャスター…仕事の幅の広さは唯一無二。ですが、それは櫻井くんが所属する組織の中で、大多数の人が通る道を通ってこなかったことの裏返しでもある。
元々、慶応の附属校に通いながらのジャニーズということで、はなから「アウェイ」な道を歩んできた櫻井くん。
いわば自分は“みにくいアヒルの子”だなぁと思っていた時期がずっとあった。学校行きゃ『ジャニーズみたいなことやってる奴』と言われ、ジャニーズに行きゃ『Jr.なのに学業優先って何だそれ』という目で見られ…
櫻井くんは、自分が誰よりも“他人と違う道を歩いている”ことに自覚的。だからこそ、周囲に馴染むまで人一倍努力する。世間が自分をどう見ているかを俯瞰で感じ取った上で、あえてその自分のいる領域を超えて攻めていく視点を持っている。
嵐という売れっ子アイドルの傍ら、慶応大学経済学部を4年ストレートで卒業。1日が48時間でも、凡人にはなし得ないであろう努力をしたことがわかります。
努力のやり方5「〝与えられたこと〟に懐疑的な視点を持つことが自分の希少性を高める」を実践することは難しいことですが、これを貫いた櫻井くんの背中はとても大きく見えます。
いかがだったでしょうか。16人の努力、ジャニー喜多川の「才能を見つけて伸ばす」エピソードを参考に、誰もがどんな場所でも花を咲かせる人材になれる。そう思います。おすすめの一冊です。
『ジャニーズは努力が9割』
(新潮社)
発売日:2019/7/31
ページ数:256ページ
霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』は読了時ツイート
67冊目
霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』「努力できる?」
どんなスターも道を諦めず真摯に努力したからこそ輝く。
与えられた人、与えられない状況から這い上がった人、孤独を選んだ人…すべての共通項は熾烈な努力。
16人のジャニーズタレントの生き様から仕事人の姿勢が学べる良書!#読了 pic.twitter.com/tWmiUMmGcL
— うまいごす@アイコン衣替え! (@umaigos) November 14, 2019
霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』目次
はじめに
ジャニーズは努力でできている・〝才能〟とは、死ぬ気で身につけるものである
第1部 努力の16人
1 中居正広
〝アイドルの非常識〟を常識化した男/あえてとったファンとの距離/〝準備の中居〟の徹底的シミュレーション/「本当の個性」を磨くために
2 木村拓哉
木村拓哉もまた努力の人である/〝初の月9〟を断る/「/「自分の強みはジャニーズです」
3 長瀬智也
尖った個性と親しみやすさの両立/「テレビドラマは人生を変える」/自作曲のストックは500曲/「普通の感覚」こそが個性を伸ばす
4 国分太一
〝ジャニーズ史上最も売れた男〟/「バカだと思われてもいい」/多忙な中でのインプット方法
5 岡田准一
「人間は〝頑張る〟ことに耐えられる」/本1冊映画3本が日課/3種類の武術を習得/なぜ8歳から人生を考え始めたのか
6 井ノ原快彦
徹底的な〝嫌われない覚悟〟/「気持ちを考えないほうが罪」
7 堂本剛
アイドルとしての成功と壊れる心/自らプレゼンするアーティストへ/「変人」だからできるものづくり/なぜ心を病んだのか/繊細さという強さ
8 堂本光一
対照的な2人/全ての行動をルーティーンに/〝捨てる勇気〟と〝託せる自信〟/「理解できない」相手といるのが成長
9 櫻井翔
どこでもアウェイだった/〝冷めた俯瞰〟ではなく〝攻めの俯瞰〟/「本業」を超えるとき
10 大野智
アイドルは夢じゃなかった/寝ずにフィギュア制作/「自由になるために」する努力
11 滝沢秀明
厳しい境遇を乗り越えたスーパースター/孤軍奮闘するリーダー/「努力する意味あるのかな?」/なぜ後輩を育てるのか
12 風間俊介
イジメっ子・犯罪者・声優……/異端のジャニーズ/〝ジャニーズなのに〟を逆に活かす/メインを超える〝スキマ産業〟
13 村上信五
「見えた道がそこしかなかった」/〝当たり前のハードル〟を上げ続ける/努力はいつ華が開くか
14 亀梨和也
「劣っている」自覚から努力は始まる/間接的にゆめを叶える/アイドルという最強の存在
15 伊野尾慧
仕事のない時期の過ごし方/風呂に入らず舞台→論文/人生何が役に立つかはわからない
16 中島健人
極端な意識の高さが一流の器を作る/目標はジャニーズのトップ/終わらない青春
未完成時代をどう生きるか――第1部まとめ
I 与えられたことを全力でやり続ける(堂本光一、滝沢秀明)
II 与えらえたことをやりながら、自分のやりたいことを続ける(岡田准一、堂本剛、大野智)
III 〝与えられたこと〟を頑張っていたら〝やりたいこと〟が見つかった(風間俊介、生田斗真、長瀬智也)
IV 〝やりたいこと〟ができなくなったが、間接的に夢が叶った(亀梨和也、手越祐也)
V 〝与えられたこと〟に懐疑的な視点を持つことが自分の希少性を高める(櫻井翔、岡本健一)
VI 〝与えられたこと〟がないときこそ日常を疎かにしない(伊野尾慧、丸山隆平)
VII 未来図を描いて、今の行動を決める(中居正広、木村拓哉)
第2部 ジャニー喜多川論 育てる力
・日本で最も優秀な採用担当者
・ジャニーとドラッカーの共通点
・ジャニー流人間性の見抜き方
・SMAPになれなかった人、V6になれなかった人
・「頑張るのは当たり前」
・褒めて伸びる人、けなして伸びる人を見分ける
・引き出す教育「ジャニイズム」
・ジャニーズ・スピリットとは
・ジャニーズ顔なんてない
・優秀な人材ばかりの組織を作るには
・ジャニーズの競争システム
・成功イメージを具体的に見せる
・「YOU出ちゃいなよ」
・成功を促す「分不相応」
・〝世界を変える大人〟の正体
・大人は子どもには戻れない――
おわりに
引用・出典一覧
『ジャニーズは努力が9割』
(新潮社)
発売日:2019/7/31
ページ数:256ページ