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二宮敦人『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上・下)』感想|真逆のスタンスで終末医療に挑む二人の医者の熱い物語

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31冊目『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上・下)』二宮敦人(おすすめ本6冊目)

幸✎読書垢(@yssh113611)さんからお薦めいただきました。ありがとうございます!

物語の中心人物となる二人の医者、桐子と福原。「冷酷な死神」と「熱血の天使」が正面から「死」に向き合うことで紡がれるストーリー。読みやすい文体で物語に没入でき、各キャラクターの心情も理解しやすく感情移入できるので、一気読み必至本です。

また、本作はシリーズ2作目なので、前作(最後の医者は桜を見上げて君を想う)を読んでから読むと、より一層楽しめます。

本作はぜひ一気読みで物語を感じてもらいたいので、今回はネタバレ極力なしでの感想にしました。

『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上) 』二宮敦人
文庫: 265ページ
出版社: TOブックス (2018/4/2)

「流されるままに生きればいい」。小さな診療所を始めた医者・桐子は患者に余命を受け入れる道もあると言い切る。一方、かつての同僚・福原は大病院で閑職に追いやられてもなお、患者の「延命」を諦めない。別々の道を歩む二人が、ある難病の恋人同士を前に再会を果たす時、それぞれに壮絶な過去が呼び覚まされるのだった。残された日々を懸命に生きる患者と医者の葛藤と闘いを描き、大反響を呼んだ医療ドラマ。衝撃の新章へ!

『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下)』二宮敦人
文庫: 237ページ
出版社: TOブックス (2018/4/2)

少年時代に入退院を繰り返し、ただ生きるだけの日々を過ごしていた桐子。だが、一人の末期癌患者との出会いが彼を変えた。奇しくも、その女性こそ幼き福原の母だった。彼女の命を賭けた願いとは?なぜ、人は絶望を前にしても諦めないのか?再び、二人が「ある医者」との闘病に挑む時、涙の真実が明らかになる。流転する時を越え、受け継がれる命が希望の未来を生む―読む者に生き方を問い直す、医療ドラマ第二弾。感動の完結編!

『最後の医者は桜を見上げて君を想う』二宮敦人
文庫: 416ページ
出版社: TOブックス (2016/11/1)

目次

『最後の医者は雨上がりの空に君を願う』はこんな人におすすめ!

☑感動したい人

複雑な話が苦手な人

イケメン医者の苦悩と活躍に心躍りたい人

医療ドラマ系の物語が好きな人

oasisが(ギャラガー兄弟の仲の悪さも含めて)大好きな人

二宮敦人さんの描写の巧さは「感情を揺さぶる」表現のの数々!

作者の二宮敦人さんは、携帯小説で人気を博したホラー作家として2009年デビュー。デビュー作の『!(ビックリマーク)』シリーズは累計19万部超えというベストセラーとなっています。

本書はホラーではなく「医療ドラマ」。しかしこのホラー作家出身のお陰で?この物語の没入感をより高めています。

個人的な意見ですが、ホラー作家さんに求められるメインの仕事は、とにかく「読み手の感情を揺さぶる」事

『!』は読み手のあらゆる喜怒哀楽を刺激させる不条理ホラーでした。『!』読了後、とある方から「作風の振り幅に驚くよ」と前作を勧めてもらい読んで、とても感動したのを覚えています。

確かに『!』と前作『最後の医者は桜を見上げて君を想う』では全然作風が違いました。その時にも感じた事ですが、二宮敦人さんは作風は違っても、この「ホラー作家さんのメインの仕事」を遂行する「感情を揺さぶる」という高い能力を巧みに活かし、作品を仕上げているのだと思います。

本作でも、その才能は遺憾無く発揮されています。

スティーブンキングも『IT』『ミザリー』『ペットセメタリー』など数えきれない恐怖作品を生み出したホラー界のドンですが、一方で『スタンドバイミー』『グリーンマイル』『ショーシャンクの空に』など感動系の作品も数多く世に送り出しています。

早々と『スタンドバイミー』的な良作を生んでしまった二宮敦人さん。今後がとても楽しみです。

それぞれのプライドをかけ終末医療に挑む「犬猿の仲」福原と桐子の熱い闘い

主人公は、どちらも優秀な医者だけど、終末医療への考え方が真逆で犬猿の仲の桐子修司と福原雅和。二人が向き合う三人の患者との生への壮絶な戦い、葛藤を中心に話が進みます。

  • とあるチャラ男
  • とある母親
  • とある医者

何が何でも、患者の命を救う…そのためには周りもドン引きするほどの尋常でない闘志を燃やす福原。

人には死を選ぶ権利がある、と患者の意思に添い尊厳死をためらわない、死神の異名を持つ桐子。

私はこの水と油の二人に、世界的ロックバンドoasisのギャラガー兄弟の姿を重ねずにはいられませんでした

犬猿の仲であっても、真剣に命と言う主題に向き合えば、出来うる限りの最善を目指せば、お互いにぶつかり合うことはあっても、最高の結果を残す事は出来る。

「患者を救う」と言うテーマで織りなされる勇猛果敢なロックンロールが、本作の共感性を高め、読者を感動の渦に巻き込むのだと思います。

それに輪をかけるように、文章の読みやすさが本作のグルーヴ感を引き立てます。

生きるとは何か。死ぬとは何か。患者を救うには、どうしたら良いのか?

そして、当の患者は何を想い、闘い、決断するのか?

全ての人は救われるために生まれてくる。そして、全ての人は救うために生まれてくる

年取ると信心深くなるなんて言うけど、死との距離が縮まることで人の考えは変わるんじゃないかな。実際の距離じゃなくて、自分の感じる死までの距離

誰に感情移入したとしても、溢れる涙からは避けられない良作です。

『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上) 』二宮敦人
文庫: 265ページ
出版社: TOブックス (2018/4/2)

『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下)』二宮敦人
文庫: 237ページ
出版社: TOブックス (2018/4/2)

『最後の医者は桜を見上げて君を想う』二宮敦人
文庫: 416ページ
出版社: TOブックス (2016/11/1)

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