文学・小説

米澤穂信『さよなら妖精』感想とネタバレ|日常と非日常の謎に、異国のマーヤと挑む青春ミステリ

こんにちは。会社で日々ぶっこまれる無茶ぶりが、徐々にでも確実に快感に変容しつつあるうまいごす(@umaigos)です。もっと!もっといじめてくれ!

22冊目『さよなら妖精』米澤穂信(おすすめ本4冊目)

今回は、新世代ミステリの旗手、米澤穂信さんの「ベルーフ」シリーズ第1作『さよなら妖精』をご紹介します。

こちらはtwitterでぬぬに@本感想ブログやってます(@nununi)さんからおすすめいただいた作品。ありがとうございました!

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『さよなら妖精』米澤穂信
文庫: 362ページ
出版社: 東京創元社 (2006/6/10)

米澤穂信『さよなら妖精』の成分表示

『さよなら妖精』は、日常の謎系青春ミステリというジャンルに属するらしい。

まだまだ不勉強で「日常の謎系」「青春ミステリ」両方に明るくなかったので、新鮮な気持ちで読み進めることができました。

日常の謎は「日本人が素通りする日本文化の謎」とでも言うべき内容が多いです。なので、その答えがすぐにわからず、自分の読書に対する不勉強より、ただ単純に本当に自分のモノの知らなさを痛感したのは内緒です。

言葉の使い方は丁寧な作家さんなので、文章は正統派で安心して読むことができますよ。

米澤穂信『さよなら妖精』のあらすじと感想

『さよなら妖精』の登場人物

守屋路行:本作の主役。藤柴高校3年生。弓道部。
マーヤ:本作の主役2。ユーゴスラヴィア人。父が日本にいる2ヶ月間、日本文化を勉強中。白河の旅館に止まらせてもらう。本名「マリヤ・ヨヴァノヴィチ」。
大刀洗万智:通称センドー。黒髪ワンレングスの女性。準主役級ポジション
白河いずる:旅館「きくい」の娘。人の良い性格で鈍い所あり。マーヤをあずかる。
文原竹彦:守屋の同級生、弓道部。少しぶっきらぼう。

『さよなら妖精』のざっくりあらすじ

ある雨の日、雨宿りをしていたマーヤ。そこに偶然通りがかった守屋と大刀洗が傘を貸してあげたことから始まった、不思議な2ヶ月間。

マーヤはユーゴスラヴィア人で、父が日本に滞在している2ヶ月間の間、日本文化を勉強する予定だった。だが、宿を借りる予定だった人が死亡していた事がわかり、実質宿無し状態で困っているとのこと。宿代も持っていないマーヤを助けようと、白河の旅館「きくい」で預かれないかと画策。白河も了承して、住み込むことに。

2ヶ月間の間、マーヤは日本文化とその哲学を学び、吸収して自国に持ち帰ろうとしていた。「弓道の精神」「日本人の宗教観」「飾らず、油断した日本の姿」「神社や祭り」「墓地見学」「名前の由来」「人間の悪意」…

ユーゴスラヴィアは、元々6つの国が1918年に統合してできた1つの国。マーヤは、6つの国が集まっただけでなく、一つの国としての7つ目の文化をつくる政治家になるという使命観があり、そのために様々な国の文化を学ぼうとしていたわけです。

マーヤと過ごすうちに、守屋には「ユーゴスラヴィアという異世界に繋がりたい!」という気持ちが湧き上がる。その気持をマーヤに伝えたが、取り合ってはくれなかった。

そして2ヶ月後、「帰ったら、手紙を書きます」と言い残して内戦で荒れる母国へ帰っていったマーヤ。

スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニア。

マーヤが帰った国によっては、身の危険がある。マーヤを救うため、残された記憶と手がかりから、一体マーヤはどこへ帰ったのか?推理をする守屋達。果たして、マーヤを救うことはできるのか。そして、万智の元へ1通の手紙が届く…

というストーリーです。

作中特に、大きな事件がバンバン起こるわけではなく、

「雨の日の朝、傘を差さずに家をでて、小走りで駆ける男は、なぜ傘を差さないのか?」
「弓道で、的に当たっても「打ち方が悪い」と怒られるのは、なぜか?」
「紅白饅頭はめでたいはずなのに、お墓に供えてあるが、これはなぜなのか?」

というような、じわじわ心をくすぐる謎解きが半分くらいなので、刺激が欲しい!な人にはもしかしたら物足りないかも知れません。

でもこの主役たちの物事に真摯に向き合う姿勢は学ぶべきだし、読んでいて素直な驚きがたくさんあり、自国の歴史や文化を知るきっかけにもなるので、学校で指定図書にしてもいいんじゃないか?と思う位です。

『さよなら妖精』とユーゴスラヴィアについて

本書は、大きく分けて二部構成になっています。

1:マーヤと学ぶ日本文化と、日常の謎

2:ユーゴスラヴィアを学び、マーヤが帰った国を推理する

そもそも、今の若い人は「ユーゴスラヴィア」って何?という人もいるのではないでしょうか。ユーゴスラヴィアは、1929年から2003年まで南東ヨーロッパのバルカン半島地域に存在した、南スラブ人を主体に合同して成立した国家の枠組みです。

本書の主な舞台が1991年。奇しくもユーゴスラヴィアが崩壊し始めた年と一致します。そういった意味でもリアリティのある作品。

軽快な前半〜中盤と、後半からクライマックスまで徐々にスピードがあがって、途中で読むのを止めるのが難しくなる印象です。ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

『さよなら妖精』米澤穂信
文庫: 362ページ
出版社: 東京創元社 (2006/6/10)

米澤穂信『さよなら妖精』にあう曲

The Strokesの『Room On Fire』に収録されている「12:51」が、マーヤが楽しそうに街を散歩しながら色々勉強をしているイメージと合ったので、こちらを推しの1曲にしたいと思います。

The Strokesはどちらかというと、日本というよりはアメリカやヨーロッパの町並みの散歩の方がイメージが合ってるとは思いますが…異文化交流ということで(笑)

米澤穂信『さよなら妖精』の目次

序章
第一章 仮面と道標
 休憩と、短い会話
第二章 キメラの死
第三章 美しく燃える街
終章

米澤穂信『さよなら妖精』の読了時ツイート

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