文学・小説

江戸川乱歩『パノラマ島綺譚』感想|狂気の結実と崩壊。芸術に生きる男の背筋も凍る怪奇小説。ドラマ「あなたの番です」に秘められた伏線も。

現在話題のドラマ「あなたの番です」の伏線とも取れる本作。こちらについても最後に言及しています。

11冊目『パノラマ島綺譚』江戸川乱歩

こんにちは。布団に圧殺されながら気絶するように眠るのが大好きな右脳迷子(@unoumaigo)です。

今回は江戸川乱歩『パノラマ島綺譚』をご紹介します。

一人の狂った男が「理想の島という作品」を作るという、美しくも恐ろしい怪奇小説です。

『パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)』江戸川乱歩
文庫: 219ページ
出版社: KADOKAWA/角川書店 (2009/5/23)

『パノラマ島綺譚』の成分表示(評点)

狂気成分たっぷり。そして芸術。ユートピア的ディストピア。背筋も凍る自己愛。そしてミステリ好きの心も刺激してくれる見事な短編になっています。

『パノラマ島綺譚』の感想を一言で言うと

乱歩にはまる男
乱歩にはまる男
人見廣介の哀しき狂気と芸術的大創造の「ぶっ壊れた美」に心を奪われろ!

『パノラマ島綺譚』のあらすじ

世を儚み芸術家を夢想する男、人見廣介。彼に生き写しの大富豪、菰田源三郎が病死したことを知る。彼になりすまし潜入に成功した廣介は、島を自分の理想郷にするという狂った大仕事を成し遂げようとする

誰もを騙して着々と理想の島を創る廣介。ただ、廣介が騙しきれない一人の女性がいた。源三郎の妻、千代子だ。

怪しんだ千代子が探りを入れるが、意に介さない廣介は、千代子の手を取り、完成間近のおぞましくも美しい島「パノラマ島」の案内を始める…

後半のパノラマ島の描写は圧巻。狂ったデッサンの自然がアンバランスに調和する様、魚人間、鳥人間、獣人間…様々な生き物を、雇われた人間がなりきり演じる姿は異常そのものです。

そしてラストへ…という感じです。

誰が認めてくれるわけでもなくとも、自分の思い描く理想をそのまま形にするという快感は、想像できない訳ではないです。廣介の脳内快楽物質はドバドバ溢れ出ていたのでしょうね。

作品の締めの、寂寥感と幸福感がないまぜになるような表現も素晴らしいと感じました。

あなたはどう感じますか?ぜひ感想きかせてください!

収録作品『石榴』も本格的に面白い

「これまで関わってこられた殺人事件で、風変わりなものの話を聞かせてください」

警察官である谷村は、避暑地で出会った中年男性猪股に、記憶をたどりながら「硫酸殺人事件」について語り始める…

事件のトリックもさることながら、後半の怒涛の展開は息を呑むと思います。

こんな完成度の高い作品が50年以上も前に執筆されていることに、驚きです。

残り9,989冊/998冊!

『パノラマ島綺譚』とドラマ「あなたの番です」との関連性は?

<おことわり>
この項目はネタバレになりますので、それが嫌な方は読み飛ばしてください。

主人公の死という壮絶な展開で幕を閉じた、人気ドラマ「あなたの番です」第1章。以降、第2章である「あなたの番です−反撃編−」も期待大です。

このドラマでは、推理小説が2つ登場します。江戸川乱歩の『パノラマ島綺譚』と、エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』です。

『パノラマ島綺譚』では、「ラストで犯人が花火になり、バラバラになる」。

『モルグ街の殺人』では、菜奈と翔太が推理する時に使う「オランウータンタイム」がその由来になっています。

この点についてはドラマの中でも語られている所ですが、どうやら、秘密はそれだけではなさそうです。

パノラマ島綺譚で押さえておくべきポイント、トリックは、

・犯人は、同じ顔の別の人間になりすましている

・犯人は、そのなりすましに気がついた妻を、殺す

・犯人は、最終的に自害する。それも、美しく。

本書を読めばこの点は痛いほど分かると思いますが、過去の名作から着想を得ていることがドラマの中でも明示されているため、この点を意識するとドラマに張り巡らされた伏線にも気がつくことができるかも知れませんね。

だって、「あなたの番です」くらい人が死ぬミステリーなんて、「入れ替わりトリック」が使われるのは定石中の定石ですからね…

はたして、誰が入れ替わっているんでしょうか?

はたして、主役が死んでしまっていいんでしょうか?

主役が死ぬとすれば、なんのために?

あれ、このドラマって、確か主役が2人いますよね?

主人公のインスタグラムって、なんのために公開されているんでしょうね?

だいぶ散りばめられていそうですね…

『パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)』江戸川乱歩
文庫: 219ページ
出版社: KADOKAWA/角川書店 (2009/5/23)

『パノラマ島綺譚』に合う曲

私の大好きなバンドのひとつ筋肉少女帯。名作『サーカス団、パノラマ島に帰る』をぜひ聴いてほしいと思います。「パノラマ島へ帰る」はそのまんま、大の江戸川乱歩フリークである大槻ケンヂ氏が本書をモチーフに書いた曲です。

「詩人オウムの世界」も「労働者 M」もいいですよ…大槻ケンヂの書く詩は文学的でしびれます。曲も最高なのです!

『パノラマ島綺譚』読了時ツイート

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