2冊目 百年文庫『灯』夏目漱石・ラフカディオ・ハーン・正岡子規(おすすめ本1冊目)
こんにちは。右脳迷子(@unoumaigo)です。
今回は、twitterフォロワーのお試しさん(@jBKz8HfDw5DcBe4)にご紹介いただいた1冊。
100冊出ているポプラ社の「百年文庫」シリーズ。その31巻目に当たる、「灯」です。
『(031)灯 (百年文庫)』 夏目漱石、ラフカディオ・ハーン、正岡子規
文庫: 139ページ
出版社: ポプラ社 (2010/10/12)
百年文庫について
ポプラ社が手がける、文庫シリーズ。
“三人の作家が響き合う、漢字「一文字」のアンソロジー”
のキャッチフレーズで、それぞれの漢字のテイストにあう国内外の名作をまとめた100冊の短編集です。
https://www.poplar.co.jp/hyakunen-bunko/
例えば、
「妖」なら
坂口安吾『夜長姫と耳男』
檀一雄『光る道』
谷崎潤一郎『秘密』
「幻」なら
川端康成『白い満月』
ヴァージニア・ウルフ『壁の染み』
尾崎翠『途上にて』
「壁」なら
カミュ『ヨナ』
安部公房『魔法のチョーク』
サヴィニオ『「人生」という名の家』
といった具合です。
今回の「灯」は
夏目漱石『琴のそら音』
ラフカディオ・ハーン『きみ子』
正岡子規『熊手と提灯』ほか
というラインナップでした。
百年文庫『灯』から得られるもの
このシリーズの醍醐味は、文学との「出会い」。
もちろん中身も素晴らしいのですが、誤解を恐れずに言うなら、このシリーズは「本を選ぶ」その行為自体の楽しさの比重がかなり高いと思いました。
「灯」はお試しさんからのおすすめの1冊ではあるのですが、お試しさん自身も「灯」を読んだわけではなく、気になる漢字で選んでもらったという、少し変わった経緯でもあります。
本来のおすすめの形とはちょっと違うかな?とも思いましたが、書店に行って探してみて思いました。これは、選ぶのが楽しいヤツだと。
その楽しさのせいで、おすすめされてもいない「掟」と「夢」も購入しちゃいました。
世の中に何冊の本があるかはわかりませんが、本来読書とは出会いですよね。その原体験を味あわせてもらえる面白いシリーズだと思います。
アマゾンでポチるより、書店や図書館で探してみることをおすすめします!
百年文庫「灯」の内容
超概要だけですが。
夏目漱石『琴のそら音』
結婚を控えた男が、知人の家で話すうちに、風邪で倒れているフィアンセのことが気になり始め、居ても立ってもいられなくなる話。
主に夜の時間帯が舞台となっていて、たまに登場する灯が、たゆたうフィアンセの命をイメージさせます。
切迫した男の心情を映す表現が臨場感のある作品でした。
ラフカディオ・ハーン『きみ子』
芸者街で活躍していた伝説の女性「きみ子」。突如街から姿を消すが、それはある愛を貫き通した故だった。強く儚いきみ子の意志の物語。
芸者街という舞台で、灯りはきみ子の儚げに輝く、一瞬を生きながらも未来を見つめた人生のレトリックに感じました。
正岡子規『飯待つ間』『病』『熊手と提灯』『ラムプの影』
自分の身の回りを観察して、一瞬一瞬を美しい独特の表現で表す作品が多いです。
本人があまり動かないことを活かした、慌ただしい周りの空気感の描写が鮮烈です。
正岡子規の作品は初めて読みましたが、面白いですね。
特に、すごく短いですが『飯待つ間』が個人的に一番好きでした。
「灯」の意味
最初は道を照らして未来へと誘う「灯」なのかなと勝手に思っていましたが、読んでみて少し違ったと思いました。
「灯」は「夢」や「人生」そのものの比喩であり、ある意味「走馬灯」のイメージに近いと。
熱く燃え、儚く揺蕩い、一瞬輝く炎を孕んだ「灯」。物言わぬ「灯」が人生の語り部になっていると思うと、もうひとりの登場人物として「灯」が俄然存在感を増します。
人によって感じ方はそれぞれだと思いますが、私はそう思いました。みなさんはどう感じるでしょうか?
素敵な読書体験をさせていただいたお試しさんに、感謝です。ありがとうございました!
残り9,998冊/999冊!
『(031)灯 (百年文庫)』 夏目漱石、ラフカディオ・ハーン、正岡子規
文庫: 139ページ
出版社: ポプラ社 (2010/10/12)
百年文庫『灯』に合う曲
BUMP OF CHICKENの「ランプ」です。みちしるべでもあり、相棒でもある。最初に考えていた「灯」のイメージはこちらに近いです。
百年文庫『灯』の目次
夏目漱石
『琴のそら音』
ラフカディオ・ハーン
『きみ子』
正岡子規
『飯待つ間』
『病』
『熊手と提灯』
『ラムプの影』
人と作品
百年文庫『灯』の読了時ツイート
2冊目
百年文庫『灯』@jBKz8HfDw5DcBe4 さんからのおすすめ本。国内外の名作を漢字1字のイメージに合わせ纏められた短編集。作中に登場する「灯」達は、「命」や「人生」の象徴なんだと感じた。揺らぎ、燃え、くすみ、輝く命。味わい深い読書の時間をありがとうございました!#読了 #1万冊読書 pic.twitter.com/5VVEIhvjC3— 右脳迷子@読書・音楽・仕事 (@unoumaigo) 2018年12月18日