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栗山英樹『育てる力』感想まとめ|『論語と算盤』は仕事や人生で使える!超わかりやすい入門書

39冊目『育てる力』栗山英樹

ビジネス&現代の思想書として名高い、渋沢栄一『論語と算盤』。超名著ですが、いきなり論語と算盤を読むのは時代背景もあって実はちょっと小難しく、ビギナー向けではありません。

しかし、実際に『論語と算盤』の教えを実務に活かして結果を出したプロ野球チームの監督が、人間関係や仕事の中で起こることを踏まえてわかりやすく説明してくれたら…と思ったら、読んでみたいと思うのではないでしょうか。

本書はそんな「仕事や人生で使える超わかりやすい『論語と算盤』入門書」です!

『育てる力』栗山英樹(著), 小松成美(構成)
(宝島社)
発売日:2018/4/5

栗山英樹監督と『論語と算盤』について

北海道日本ハムファイターズ監督、栗山英樹さんは超読書家

栗山英樹さんは元プロ野球選手で、2012年より北海道日本ハムファイターズの監督をされています。大リーガーとなったあの大谷翔平選手を育てたり、2016年には、チームをリーグ優勝させて日本一に導いた名将としても有名です。

日本ハムファイターズの優勝は、チームプレーによる奇跡と言われています。強豪ライバルチームは、個々の選手のパワーも桁違いですが、日ハムに大谷翔平選手という怪物は当時いましたが、その他の選手のそれぞれの力を補い合い、高め合うチームプレーを発揮できたからこそ、優勝ができたということです。

そして、その影には栗山英樹監督の「人間教育」がありました。

人を育て、強い組織を作り上げるための核となる考えは、野球の監督だろうが、ビジネスの世界においてだろうが、まったく同じだと、私は思っている。

それを実践するために、栗山監督は新人選手に『論語と算盤』を渡すのだそうです。

野球をしようとしているのに、渡される一冊のムズカシメの本(笑)。10代20代ですぐ理解できるとは思っておらず特に感想を強制してはいないそうですが、こうも言っています。

私は衝撃を受けた。『論語と算盤』には論語の教えと同様に組織論の真髄が書かれていたからだ。私はこれを実践し続けることが選手にもチームにも、果てはこの野球界にも有益になると信じ、これを実行し続けてきた。

栗山監督は超読書家としても知られていますが、その彼がここまで心酔する『論語と算盤』。読まない訳にはいきません。

渋沢栄一『論語と算盤』とは

そもそも、渋沢栄一(1840-1931)って誰?

キリンビールや帝国ホテル、みずほ銀行、日本赤十字社、富岡製糸場…など、約500の企業や団体の育成に関わり、約600の社会公共事業や教育機関を支援して、「日本資本主義の父」と称され、あの「マネジメントの父」であるピーター・ドラッカーをして「彼の右に出るものをしらない」と言わしめた、明治から大正に活躍した大実業家です。

2024年に発行される新一万円札の顔に決定したことは有名です(経済人として日本史上初)。さらに、2021年1月から放送予定の大河ドラマ「青天を衝け」のモデルにもなることが決まり、改めて注目を集めているすごい人物。

その渋沢栄一の代表作が『論語と算盤』です。

『論語と算盤』は、渋沢栄一が後進の実業家を育てるために自分の経営論を語った談話録です。

本書で渋沢は、「論語(=道徳)と算盤(=経済)」を一致させることが大切で、「誠実な振る舞い」や、「自分の利益でなく、他者の利益を優先して考えること」が安定的かつ持続的な社会の繁栄に繋がる、と繰り返し説いている。

要するに、

自分の利益ばかり考えると共倒れになってしまう。他者の利益を考え、弱き者を庇ってこそ、世の中は繁栄する

これは渋沢栄一の提唱する「道徳経済合一説」そのものですが、この考えって、人が人と関わる以上、おそらく時代を越えて超大事ですよね。

そのエッセンスを理解すれば、仕事にも人生にも必ず役立ちます。

 

『論語と算盤』が教えてくれるもの

本書は『論語と算盤』を元に栗山英樹監督の仕事観、人生観、リーダーシップ観、人材育成観について語られた一冊です。大谷翔平選手も読み、その成長の糧とした『論語と算盤』。私が本書から気になった箇所をピックアップしました。

人間力は鍛錬です。誰しも悩みの主題は、その時々で違う。だからこそ読んだタイミングで、その人に応じた学びが別々にある。そのようにして『論語と算盤』は古今東西のリーダーが座右の書として、人生に迷った時に開いたのでしょう。

 

不安や迷いこそが勇気をうみ、挫折こそが人の力を育み、敗北という手痛い経験こそが叡智を授け、決して曲がらぬ志こそが勝利をもたらす

 

自分らしさを持ち、納得いくまで研鑽することを厭わない姿勢。遮二無二自分を磨くことに取り組む姿を暑苦しいなどと言わず、オレはいけている、かっこいい、と素直に心躍らせて欲しいのである

 

若い選手が良い習慣を身につけるには、本人の努力と同様、周囲の理解や見守る目が必要だ

 

人の何倍も能力があることの落とし穴は、ふとした瞬間に努力と勤勉を見失うことだ。こんなことに何の意味があるのか、と悩んでしまう。だが、地道な練習を積み重ねることでしか未来への道はない。

 

私がなぜ渋沢栄一の『論語と算盤』を選手たちに配っているのか。それは日常を省みても、野球ではないところにこそ注意を払わなければならないからだ。目前に問題があっても、進むべき方法と考えがあれば自然と道が切り開かれていく。それを繰り返せばやがてしっかりとした人間力がつく。

 

私は、「志」と「振る舞い」が一つでありたいと思っている。

 

軋轢のない環境には会話が生まれ、そこには組織のための知恵が生まれる。私は、若い選手の言葉を受け止める瑞々しい心を、どんな瞬間でも持ち合わせていなければならない。

 

見えない未来を信じろ

 

最後の章には、栗山監督と渋沢栄一の末裔、渋澤健さんとの対談も掲載されています。色々な角度から人間学を学ぶ最適の一冊です。

『育てる力』栗山英樹(著), 小松成美(構成)
(宝島社)
発売日:2018/4/5

 

栗山英樹『育てる力』の目次

まえがき

序章 なぜ『論語と算盤』なのか?

第1章 部下をどうコーチングするか
大谷を育てたのではない、むしろ私が、育てられたのだ
「自分らしさ」を持っている人間が、一番強い
押し付けないで、選択肢を提示するのがコーチングだ
人の話に耳を傾けられる人が、結果を出す人だ
一流は、金銭感覚も一流である
上から押さえ付けても、人は成長しないものだ
ルールとは、良い習慣を身につけるためのものだ
苦しい時しか、知恵は生まれない
「全力を尽くさない」なんてあり得ない
意志を持って部下が決めたことを、上の人間は信じるべきだ
学び続けていれば、何歳でも成長できることを忘れない
絶対的な危機は、時にチャンスとなる
囲い込まずに、大局観で手放すことも大切だ
もっとも得意とするもので、志を定めることが大切だ

第2章 『論語と算盤』とは何か
人として成長するのも、「練習」が必要だ
異質なものを組み合わせることが大切
常に本質を見極める努力をするべきだ
「お金」とは正しく向き合うべきである
「人が喜んでくれるか?」を軸に考える
見た目でなくて、プレーで目立て
野球人としての成功より、人としての成功を目指す
運の開拓は努力から
すべての答えは『論語』の中にある
答えが出ない時、ヒントはここにある
自分が正しいと思うな
道徳と利益の一致が、真の成功に繋がる

第3章 リーダーが大切にすべきこと
善の競争を尊び、悪の競争を排除する
競争すべき相手は、他ではなく、自分だ
簡単に匙を投げるな
成功は、自分の手でしか掴めない
「志」と「振る舞い」の矛盾に、もがいて生きる
強い組織にある、円滑なコミュニケーション
精神や身体、知恵や知識、行いを日々鍛錬すべきだ
挑戦し続けることでしか、自分を高められない
監督に必要なのは、思考の「素振り」だ
選手が一番輝ける場所を、常に考えるべきだ
自分の理想を、下の人間に押し付けない

第4章 強い組織作りは『論語と算盤』に学べ
「人は平等」であることを意識する
適所に人を置き、その場所で個性を磨く
いかに「私」をなくして、取り組めるかが大切だ
見えない未来を信じろ
何があろうと、メンバーが持つ才能を信じる
監督の「言葉の重さ」は、組織の強さに繋がる
「正しい非常識」は、いつか「常識」になる
組織は全員、「プロであること」を意識する

[対談]栗山英樹×渋澤健
時代を越えて語り継がれる『論語と算盤』の魅力とは?

あとがきにかえて

 

栗山英樹『育てる力』の読了時ツイート

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