こんにちは。歴代MOTHER1〜3を頭がショートするまでやり込んだ青春の日々。うまいごす(@umaigos)です。
28冊目『すいません、ほぼ日の経営。』糸井重里×川島蓉子
今回は、『すいません、ほぼ日の経営。』をご紹介します。
個人的には糸井重里さんは、「MOTHERシリーズの生みの親」のイメージが抜群に強いです。ほぼ日手帳も使っていたし、様々な秀逸なコピーも見てきましたが、やはり自分の青春を駆け抜けた「大人も子供も、おねーさんも。」に叶うものはありません。
どせいさんフォントを手書きでノート1冊練習したし、心の中で「テレポートα!」と叫びながらダッシュして短距離走で少しいい成績を残せたし、スーパーファミコンのMOTHER2の外箱の少しモコモコしたタイトル字部分を指で撫でながらニヤついていたし、今だって自転車乗るときはあのメロディで口笛吹いてるし、MOTHER3をやるためだけにゲームボーイミクロの本体付き限定版BOXを購入して、会社を一日休んで戦闘ビート刻みに明け暮れたし…
とまぁ、糸井ワールドにハマってしまった1人として、糸井さんの動向は気にしておりました。そんな中、株式会社ほぼ日の設立(正確には社名変更)、そしてJASDAQ上場と、着実に「経営者」になっていく糸井さん。今、何を考えているんだろう?という所の現在進行系の答えをくれる一冊です。
『すいません、ほぼ日の経営。』糸井重里、川島蓉子
単行本(ソフトカバー): 288ページ
出版社: 日経BP (2018/10/18)
『すいません、ほぼ日の経営。』の成分表示
「経営者」糸井重里の今の考え方をわかりやすく示してくれる一冊です。加えて、これからの社会が求める働き方や、会社と社員との関わり方についても示唆してくれる部分があります。
それにしても、こういうビジネス本のタイトルに「すいません、ほぼ日の経営。」と名付ける糸井さんのセンスはやはり只者ではないと思ってしまう。
(タイトルについての説明も、本書の中に本人から説明があります。ちょっと感動します)
“経営者”糸井重里は、いま何を考えているのか
本書は5章に分かれています。株式会社ほぼ日の取り組みの紹介を混ぜながら、読みやすく構成されています。
[box03 title=”すいません、ほぼ日の経営。の章構成”]1:ほぼ日と事業
2:ほぼ日と人
3:ほぼ日と組織
4:ほぼ日と上場
5:ほぼ日と社長[/box03]
読んでみると、株式会社ほぼ日は「オラオラ、うちは最先端だぞ!」という感じではなく、職人気質の「おもしろいことが好きな人たち」が集まって、良いものを作ろうとしている割とストイックな会社だということがわかります。
「ストイック」という言葉をどう定義するか、受け止めるかで、働きやすそうだと思う人もいれば、ちょっと大変そうだな、と思う人もいるでしょう。
でもこの考え方は、これから「時代をリードする!」とまで強くは言い切らないけど、「時代を作っていく数ある手段のうちのひとつ」の働き方になっていくのではないかと強く感じます。
ほぼ日の行動指針「やさしく つよく おもしろく」の言葉にも、それが現れていますよね。
それでは、私が気になった言葉を章ごとにご紹介します。
糸井重里が考える「ほぼ日と事業」
良い事業は「アイデアありき」
他社商品はリサーチしない
いいか悪いかで判断しない
会社都合だとお客さんは「つまらない」と感じる
「心」の問題を大切にする。お客さんは必ず「心」の問題をわかってくれる
一日1ページの「LIVE=ライブ」をミルフィーユのように重ねていくと「LIFE=人生」になる。後から読み返すと、底に現れてくるのは「BOOK」。
ハズレも含めて買え
買い物は選挙に近い
他社商品はリサーチしない、と言うのは、かのセブンイレブンジャパン創業者の鈴木敏文さんも同じことをおっしゃっています。競合商品を研究しても、そこにはイノベーションが起きないんだ、ということで、鈴木さんは、他のコンビニには足を踏み入れたこともないそうです。
糸井さんは、「良いもの」を真剣に作ろうとしている。でも、独りよがりじゃなく、お客様に向き合うことから逃げずに、それを達成しようとしている。当たり前ですが、まともな考え方だなと思います。
糸井重里が考える「ほぼ日と人」
「もっといい考えがあるんじゃない?」を繰り返す
難しいことをやるから給料がもらえる。でも、難しいことに直面する大変さそのものは、本当は何も稼いではいない。そこで考えて、考えるほど面白くなって、みんなのよろこぶものになっていく。そこで初めて稼ぎになる
1人の時間はインプットよりアウトプットの方が向いている
企業の風土を決めるのは「何がかっこいいか」
消極的の方がうまくいく風土をなくす
好きなことに面白がって没頭している時に「集中」が生まれる
ルールでは「どうぞ」と書いてあっても、ルールではない所で「どうぞじゃない」ということもあって、それでは意味がない
「いい人募集」でもその「いい人」を定義すると、面接用の人格をつくった人がくるので、定義はしていない
「あいつも呼ぼうよ」の「あいつ」
「誠実」と「貢献」
お客さんが「面白い」と思うものをつくるってことは、一筋縄では行かない仕事です。それをやるためには、まず自分が楽しまなきゃいけないし、それを「やりきる」ことができないといけない。
クリエイティブと一言で言ってしまえばカンタンですが、その正解は常にアメーバの様に変化する大変な仕事です。それを支える人を採るために、色々と工夫されているようです。
糸井重里が考える「ほぼ日と組織」
ほぼ日の行動指針「やさしく つよく おもしろく」
「やさしく」が先。「やさしく」の人が「つよく」ならないといけない
「おもしろく」が人を集める
クリエイティビティ3つの輪「集合」「動機」「実行」
言葉には正解だと思えるまでの試用期間が必要
「誰が作ったか」より「どんな場が作ったか」のほうが大事
頼まれるということは「あなたはできる」と認めてくれた人がいたということ。「できないかもしれない」と考える時間を減らせる
人体模型のような組織図。内臓がお互いに助け合い全体が動く。「腎臓はなくていいです」とは言えませんよね
組織論としては、昔ながらの会社の形とは少し違う印象です。「糸井重里」という強烈な個性の社長がいるということで、バリバリのオーナー企業なのかと思いきや、むしろそうではなく、社員全員の個性が発揮される場を作ろうという意気込みが強かった。そしてそのための試行錯誤がインタビューから見て取れます。
糸井重里が考える「ほぼ日と上場」
やさしさに保護される会社。人間が生きていく「夢」のあり方として、本当にこれでいいのか?
自由そうに見えるけど、膨大な不自由があるかも知れない。今までのは「子どもの自由」だった
上場は、企業がつよくなるためのエクササイズのようなもの
「三年後にこうなります」は言えないけど、「こうなりたいし、こうなるつもりで動いています」なら嘘でなく、本音で語れる
「成長性」という言葉に対して、「期待しないでください」とわざと言っているけど、一番期待しているのは僕たち自身。その成長のスイッチを入れるための上場という意味もあった
「スペック」「情熱」の競争は避ける
あとは任せたの「おじさん成分」できていた僕が、責任を背負い「お父さん成分」を入れることになった
会社を上場させるということは、株主がいて、社会からの要請があって、常に成長して利益を出し続けて…という要求に答えていかなければいけない。いわば「プロ」にならなければいけません。それでも「面白いもの」を作ることを追求しているほぼ日がわざわざ上場することの意味。この章を読んでわかった気がします。
決しておかしな方向を向くのではなく、背伸びしてでも「しっかりする」ために上場した。でも無理して体を壊すようなことはしない(実際には結構してしまうだろうけど)。そんな世の中に胸を張って働く意思表明なんですね。かっこいい。
糸井重里が考える「ほぼ日と社長」
社長の役割…「社長がいなくても大丈夫なようにすること」を考えること
社長に求められるもの…社長本人が元気で楽しそうで、かつ社員がメシを食えるように給料を払うこと
社員ひとりひとりが、誰かになにかをしてあげるということろまでが、社員がメシを食えるように給料を払うということ
危機感は体が弱っている時に感じるもの。それをわかった上で言わないと、単なる押しつけになる
じぶんのリーダーはじぶんです
向いている方向が合っていて、おもしろくなる可能性があるなら勝算などなくてもどんどん進んだほうがいい
夢に手足を。
社長としての糸井さん像がこの章で明らかになります。この章も「ウンウン」とうなずきながら読みましたが、でも前の4章で十分伝わるので、あえてここは章にしなくてもよかったかもしれない。それくらい、全編「社長・糸井重里」が等身大でインタビューにぶつかって答えている内容で、空気感も伝わってくる良い本だと思います。
今、糸井重里は何を考えているか。世の中の方向はどちらに進んでいるか。そんなことを感じたい人。そしてMOTHER世代の貴方(笑)ぜひご一読ください。
『すいません、ほぼ日の経営。』糸井重里、川島蓉子
単行本(ソフトカバー): 288ページ
出版社: 日経BP (2018/10/18)
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『すいません、ほぼ日の経営。』に合う推し曲
すいません、そんなわけで無条件でMOTHERのサウンドトラックが一押しです。すいません。だって好きなんだもん。。
『すいません、ほぼ日の経営。』の目次
まえがき 川島蓉子
第一章 ほぼ日と事業
第二章 ほぼ日と人
第三章 ほぼ日と組織
第四章 ほぼ日と上場
第五章 ほぼ日と社長
あとがきにかえて 糸井重里
あとがき 川島蓉子
『すいません、ほぼ日の経営。』の読了時ツイート
28冊目
糸井重里×川島蓉子『すいません、ほぼ日の経営。』ほぼ日が「子どもの自由」を脱却して上場し、社員が責任を成長と捉えとことん楽しんで働く姿。
一見異色だが、働く幸福を追求した経営の最適解なのかも。
本質を突く言葉たちが、企業の在り方に刺激を与えてくれる!#読了 #すいません経営 pic.twitter.com/Qv1Q4tq1Cs
— 右脳迷子@読書・音楽・仕事 (@unoumaigo) March 18, 2019