気軽に感想と紹介がしたいからまとめ記事を…と言いつつ毎月1記事も投稿できてないなんてズボラな自分なんだ!という事で、2023年もすでに半分過ぎますが自戒を込めて昨年の11月分。
個人的に読んで面白かった本のベスト5冊+αをご紹介します!
2022年11月に読んだ本の一覧
11月に読んだ本は18冊。以下読んだ順。
- ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』
- 浅倉秋成『俺ではない炎上』
- 後藤宗明『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』
- クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る』
- 滝川さり『めぐみの家には、小人がいる。』
- 芦沢央『夜の道標』
- 真梨幸子『さっちゃんは、なぜ死んだのか?』
- 上田岳弘『ニムロッド』
- 原田マハ『リボルバー』
- 芦沢央『罪の余白』
- 澤村伊智『ぼぎわんが、来る』
- 澤村伊智『ずうのめ人形』
- 澤村伊智『などらきの首』
- 澤村伊智『ししりばの家』
- 中村淳彦『悪魔の傾聴 会話も人間関係も思いのままに操る』
- 澤村伊智『ぜんしゅの跫』
- 澤村伊智『ばくうどの悪夢』
- 石川明『Deep Skill ディープ・スキル 人と組織を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」』
11月にやって楽しかったのは澤村伊智の比嘉姉妹シリーズを最新刊の『ばくうどの悪夢』まで一気読みした事。最高に楽しかった!!
2022年11月に読んで面白かった本ランキング ベスト5+α
※ちなみに、澤村伊智『ぼぎわんが、来る』は再読のため、ランキングには入れていません。
1位:澤村伊智『ばくうどの悪夢』(2022年11月に読んで面白かった本ランキング)
本作は、澤村伊智さんの人気シリーズ「比嘉姉妹シリーズ」の最新刊。
当ブログでも感想を書いた澤村伊智さんのデビュー作『ぼぎわんが、来る』しか、このシリーズは読んでなかったんですが、『ばくうどの悪夢』の表紙を見て、「あ~なんかヤバそうな表紙だな。これはいよいよシリーズを通して読むべき時が来たな…」と思ったんですね。
その直感を信じて、ただの大正解でした。
特命係長 只野大正解でした。古いかね。知らん。
澤村伊智さんはホラー作家とされていますが、ただ怖がらせるだけじゃなく、どの作品も「ひと仕掛け」入れてくる技巧派作家だと思っています。「理屈じゃなく怖い」だけでももちろんホラーとしては成立するけど、読み手が納得できる謎解き・ミステリ要素もしっかり取り入れてくれるので、安心して怖がれる。読み終えた後にひどいもやもやが残らない。そんな印象があります。
本作『ばくうどの悪夢』は、そのホラーとしての力量、ミステリとしての技量、さらに今回のモチーフである〈死の悪夢〉を十二分に盛り込んで鬼気迫る筆致で描ききってくれています。
どんでん返しとかいう生ぬるい言葉の意味ではなく、作中何回でも怖がれる、何回でも驚ける。
そんな、読む手が気づけばズタズタにされそうな一冊。究極に面白かった!
シリーズを通してオススメ!最新刊だからという忖度じゃなく、本作が一番面白かった。そしてまだシリーズは続く(はず)。みんな読もう!
2位:クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る』(2022年11月に読んで面白かった本ランキング)
素晴らしい。傑作ミステリ。
30年前の少女の死亡事件の犯人が、30年の時を経て出所してくる。変わった町、変わらぬ人の心、壊れた人間関係、残る絆、そして巻き起こる新たな事件。2人の男女の主人公である警察署長のウォークと、〈無法者〉を名乗る少女ダッチェスを中心に、関わる人間のドラマが切実に描かれる。
笑いあり、涙あり…と言いたいところだけど、直接的な「笑い」の要素は文章の中には少ない。けど、絶望を背負ったウォークとダッチェスの一直線にしか進めない生き様には、ある種のおかしみが漂っているので、笑えてしまうシーンも実際は多々存在する。これが人間模様だな…としみじみ思う。
読後感は最高。厚みはあるけど読んで損はない作品です!
3位:澤村伊智『ずうのめ人形』(2022年11月に読んで面白かった本ランキング)
1位に続き、こちらも澤村伊智さんの「比嘉姉妹シリーズ」。ミステリ度が高い逸品です。
「ずうのめ人形」…一体何なんだ。この字面。恐ろしい…ということで、本作のモチーフは〈死を呼ぶ人形〉。マジで怖いですよ。
比嘉姉妹シリーズを超~~~ざっくり言うと「怪異と闘う霊能力者」。しかし、その怪異と闘う霊能力者たる比嘉姉妹も、ただの人間です。なので、敵が強いとマジで死にかねない。そのヒリヒリした緊張感も本シリーズの魅力。ツイートにも書いたけど、安全圏がないんですよね。だからいいのよ。
本作は、純粋にミステリ好きの人にも満足してもらえる作品だと思います。だからオススメだって言ってんだろ!!
4位:原田マハ『リボルバー』(2022年11月に読んで面白かった本ランキング)
9月の2位の『風神雷神』もそうなんですが、原田マハさんのアート作品、超面白いですね。
本作のテーマは「天才画家フィンセント・ファン・ゴッホの拳銃自殺」という、アート史上最大の謎。これだけでもワクワクする…んだけど、その前にこの巨大すぎるテーマを眼前に、ハードル上がりすぎない?大丈夫?という意味不明な心配が発生。え、こんな世界のビッグテーマを相手に描ききれるんですか?本当に?
…と、うがった俺の頭蓋をひと想いに撃ち抜いてくれ。
原田マハさんのアート作品はハズレがない。むしろ、テーマがデカい方が良作になるんじゃないかとすら思えました。読後、ゴッホ展に行きたくなりますよ。狂気の天才画家ゴッホの苦悩とドラマが生き生きと描写されていました。ゴッホの史実も深く理解できるので、ちょっとでもこの世界に興味がある方、完全な必読本です。
5位:ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』(2022年11月に読んで面白かった本ランキング)
「2019年、アメリカでいちばん売れた小説!」と帯に書かれてました。それで購入してから1年半、ようやく読了。2位の『われら闇より天を見る』も切ないけど、本作も切ない。共通するのは「重めの傑作ミステリ」という点です。
他作品の感想と絡めるなと言われそうだけど、『われら闇より天を見る』の主役のひとりダッチェスも孤独な少女だ。でもこちらには、弟もいたり様々な人間とのかかわり合いがある分、どこか色鮮やかだ。でも、『ザリガニの鳴くところ』のカイアは、もちろん数名のキーパーソンとのかかわり合いがあるものの、徹底して孤独がベースになる。その分、色彩は少ないイメージ。
まともな教育も受けられず、それでも自然を愛し心優しく必死に生きる、湿地に住む孤独な少女、カイア。
孤独な人間の目の前に幾度となく提示される「希望のようなもの」が、いつも真の孤独の到来をどこかで予感させる。でもその希望のようなものを信じ、受け入れ、傷つかなければならない理不尽に読みながら心が痛かった。
そして、美しい自然の描写。強く、切なく、美しい。読後に打ちひしがれること必至の傑作ミステリです。
+αの一冊:中村淳彦『悪魔の傾聴 会話も人間関係も思いのままに操る』
今回の+αは、ヤバいコミュニケーションが身につく一冊。
AV女優、風俗、様々な問題を抱える職業の人の心をひらいてきたインタビューのプロが、「身近な人には使わないでください」と銘打って世に出したノウハウ本ですが、読みながらこれは取り扱い注意な一冊だなと確信。
話を聞くことの基本篇、相手の本音を引き出す実践篇とテクニックが、実例を踏まえてわかりやすく解説されています。
話し下手で大丈夫!誰でも練習すれば、かなり心の奥の奥まで引き出せるんじゃないかと思えます。気になる方は、ぜひ手にとってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!