脳科学の見地で、セールス、売り方、販売方法について書かれた『売れるまでの時間―残り39秒[DVD付]~脳が断れない「無敵のセールスシステム」』についてご紹介します。
『売れるまでの時間―残り39秒[DVD付]~脳が断れない「無敵のセールスシステム」』遠藤 K.貴則
単行本(ソフトカバー): 200ページ
出版社: きずな出版 (2017/4/4)
↓これが本来の表紙
↓これが新バージョンの表紙。
物を売るという行為は、非常にシンプルですが奥深い。
自分も営業時代、
・手応えがあったが「後で」という理由で返事待ちになり、そのまま連絡をもらえなかった
・商品は割とどこにでもあるようなものでも、「君から買いたい」と言われてなぜか売れた
ことがありました。
原因をはっきりさせないと次に活かせないのですが、なかなかそれもうまくいかず、行き当たりばったりで経験値を貯めていき、「自分なりのパターン」というものを見つけて売るというスタイルに帰着しました。
それでも相手によってはうまく行かないし、営業・セールスには、再現性のある「科学」が必要だなとは感じています。
この本では、売れるためには39秒あれば良い、そしてそれは誰にでもできるという大胆な語り口でスタートします。
そんな印象で読み始めましたが、ところがどっこい、この手法は結構使えるかも知れないと思うに至りました。
著者:遠藤K.貴則氏
2007年、アメリカのフロリダ州マイアミ市にあるカルロスアルビズ大学の臨床心理学博士課程に入学。法廷(犯罪・法律)専攻を選び、研修過程で殺人犯、傷害犯、強姦犯、薬物依存やマフィア関係者などとの交渉、検査・治療をおこなう傍ら、講義を現場、治療施設、病院、収容所で行う。
2009年心理統計学の准教授になり、2年間教鞭を振るう。2010年アメリカ軍士官候補として3年間の訓練を経て、2013年博士課程を修了。治療センターでは全ドクター中過去最高の患者完治率を記録し、ベスト・スタッフ賞を授与。ベスト・セラピストにノミネートされる。
2015年日本に帰国後、「決断の科学」(ニューロマーケティング)を取り入れた法人への指導及び、講演会を国際的に行うようになる。心理学と統計学の権威であり、最先端の教育科学、脳科学をもとに講演会を構築し、「もっともわかりやすく、自然に技術を使えるように指導できる人物」として知られる。
(以上、本文より引用)
プロフィールに海外留学経験がある人って、カッコいいですよね。とてもうらやましい。渡米した理由は知りませんが、海を渡るという決断をして人生を切り拓く姿勢は素晴らしいと思います。
遠藤氏のプロフィールから、心理学、脳科学を元にした人間の抗うことができない本来の性質を活かした売り方が炸裂するのだろうと想像します。そして、内容もその期待を裏切らないものでした。
脳に直撃するセールス法とは
[box03 title=”要点”]・「セールス」をする前に、「物が売れる状態」を作る必要がある
・「タイミング」「トラスト」「トラブル」の3つのTを押さえる
・条件さえみたせば、後は30秒のセールストークをすればOK
・9秒後には、自然と相手は買ってくれる決断をする[/box03]
相手が「買いたくなる、買ってくれる状態」を作って、売る。大きく手順を分けると、その2つになるということ。まさにシンプルで奥が深い。
でもこの理屈は非常に理解できます。いきなり売り込むのではなく、下地を作ってから売るというのは、昔も今もセールスの鉄則です。
購買行動のフレームワークの定石であるAIDMAやAISASも、大きく2つに分けると、大部分は「顧客に知ってもらう、覚えてもらう、信用してもらう」手順です。最初の手順なくしては、ものは絶対に売れません。仮に売れたとしても、長続きはしないでしょう。
[box03 title=”購買行動のフレームワーク1・AIDMA”]A…Attention:認知・注意
I…Interest:興味・関心
D…Desire:欲求
M…Memory:記憶
A…Action:行動[/box03]
[box03 title=”購買行動のフレームワーク2・AISAS”]A…Attention:認知・注意
I…Interest:興味・関心
S…Search:検索
A…Action:行動
S…Share:共有[/box03]
本書は、その2つのステップについてしっかり解説されています。すぐ使える具体的な手法や事例もいくつかあるので、参考になります。(ちなみに、なんで本書の表紙が新しいデザインになっているかは、第4章でその種が明かされています)
そして本書の真骨頂は、売る準備ができた後の「クロージング」である、“39ピッチ”です。
準備ができたら“39ピッチ”で売る
[box03 title=”39ピッチの構造”]ステップ1:相手の「問題(苦悩)」を提起する
ステップ2:買うだけの「利点とリスク」を説明する
ステップ3:「なぜ自分から買うべきなのか」を説明する
ステップ4:行動を促す[/box03]
上記のステップを30秒のセールストークに盛り込んで、リズムよく相手に話すだけ。
時間ピッタリ30秒にして、9秒相手を考えさせる。本当にできたらこりゃ凄い。でも、疑うより信じろ、ですよね。できると信じて組み立てるのが吉で、失敗を重ねて自分のセールストークを磨いていくものだと思うし、30秒というひな形はそれなりに有効じゃないですかね。
正直、練習がかなり必要だと思います。が、これで売れなきゃ嘘だろう。
外に出ないセールス・広報の人でも、もちろん外向きの営業マンでもすぐに使える要素満載。全部使いこなせれば凄いが、つまみ食いでも効果がありそうな良書です。ぜひ、読んでみてください。
『売れるまでの時間―残り39秒[DVD付]~脳が断れない「無敵のセールスシステム」』遠藤 K.貴則
単行本(ソフトカバー): 200ページ
出版社: きずな出版 (2017/4/4)
『売れるまでの時間-残り39秒 脳が折れない「無敵のセールスシステム」』の目次
Prologue 39秒で何でも売れる世界を、手に入れたくはないか?
第1章 最強のセールスシステム「39ピッチ」とは?
第2章 お客さまは4つのタイプに分類される
第3章 あなたを一流の「ブランド」にする方法
第4章 「売れるマーケティング」のウソとホント
第5章 相手の五感を自在に刺激する
第6章 「39ピッチ」をマスターせよ
Epilogue セールスとは、助けることである
『売れるまでの時間-残り39秒 脳が折れない「無敵のセールスシステム」』に合う音楽
せっかく音楽好きなので、本に合うCDや曲の紹介でもしてみようかと。
30秒話すという時間的制約や、五感(脳)を刺激するセールス法、ということでここはやはり「能動的三分間」が収録されている東京事変の「スポーツ」で決まりですね。
『売れるまでの時間-残り39秒 脳が折れない「無敵のセールスシステム」』の読了時ツイート
遠藤K.貴則『売れるまでの時間ー残り39秒』読了。
脳科学によるニューロマーケティングの営業実践テクニック論。信頼+機会+苦悩の3つが整えば、後は30秒のセールストークだけ。9秒後には物が売れる。一見怪しいけどこれは間違いなく売れるわ。後日書評書く。 #読書好きな人と繋がりたい #読了 pic.twitter.com/RMjRQYsZje
— 右脳迷子@読書・音楽・仕事 (@unoumaigo) 2018年9月27日